第31話 ギルド⑥
投稿が遅くなりました。
コロナウイルスのせいで、自宅にいることが増えました。が、どうか鬱になることなく、また健康管理にも充分気をつけてください。
思い出話に花を咲かせる二人を尻目に、受付の近くのベンチに腰掛ける。
「なんかさー、いきなりこの世界に連れてこられて、いろいろ困惑してたのに今はなんか慣れちゃってるよね」
天井を見上げながら海里がつぶやく。
「そうだな。」
隣りに座った神村が彼女に返答する。
「ここからさ、もっと危険になるんだよね」
「うん」
「大丈夫かな、私たち」
海里の言葉に思わず黙り込んでしまう。
ふと正弘は目の前を行き交う人々を眺めた。常に死の危険と隣り合わせの彼らは、まるでその一瞬を楽しむかのように笑っていた。
「悩んでもしょうがないよ。やってみないとそれはわからない」
突然割り込んできた声に驚くと、ヘレナとの話が終わったのか、リクトが近くに立っていた。
「冒険者は常に死と隣り合わせ。だからこそ、彼らは絶対に生きて帰ることを常としている。それは僕達もだ」
そう淡々と語るリクトの目は、どこか強い光を帯びていた。
「あそこの壁、見えるかい?」
「ああ、あの木の?」
「うん。アリサが帰ってきたら、君たちもあそこに名前を刻むといい。『必ず帰ってくる』っていう印にね」
冒険者なら誰もが利用するギルド。
もしかしたらここは冒険者に取っては心の拠り所となるだけでなく、旅の安全を祈願する、そんな場所でもあるのかもしれない。
「おまたせ!」
明るい声が響く。
見るとラッセルやミランに付き添われて有沙が帰ってきたところだった。
「さて、これで全員の試験結果が終わりました。みなさん、リクトさんも受付に集まってください。」
その言葉でラッセルやヘレナも受付に集まった。