第27話 ギルド②
すいません、超遅れました・・・。
「今からギルドに入るけど、皆さん僕からは絶対に離れず、僕の許可があるまであまり喋らないで下さい。騒ぎを起こしたくないので。」
「わかりました。」
海里が真剣な顔でそれに頷いた。
正弘は、昔受付嬢に殴られて吹っ飛んだなぁと懐かしいことを思いながらそれに頷いていた。
「じゃあ、入るよ。」
リクトがドアを開けると、カランコロンと音が鳴り中の喧騒が一気に耳を貫いてきた。
扉が開いた音に気を止めるものはいない。ざわめきながらも一応確保されている真ん中の通路を通り、カウンターの方へ歩いていく。
「ミランさん、この人たちを登録してほしいんですけど。」
「はい、わかりました。ではそれぞれ名前と年齢と得意なことをこの用紙にお書きください。」
「了解です。えーと、文字は・・・書けないようだから僕が全部書いておくよ。」
「わかりました。」
ミランから出された書類をリクトが受け取ったのを確認し、彼女は4人に目線を向けた。
「今から登録のための試験を受けてもらいます。マサヒロさんとミサトさんは魔法の、タイシさんは剣術の実技試験を行っていただき、アリサさんは治癒魔法なので手負いの者を治癒してもらいます。」
と、そこで奥から厳つい身体をした男が近づいてきた。
「よう、リクト!今日はどうしたぁ!ん?なるほど、そいつらがそうか・・・。よし、タイシとか言ったな。お前は俺について来い!」
男は少し乱暴に挨拶をすると、見るからにテンションの上がっている神村を連れて奥に歩いて行った。
「じゃあ、待ってるから。合格してきてね。」
「はい」
爽やかに手を振ったリクトに返事して、カウンターから出てきたミランについていく。
少し建物の中を歩くと、突然視界が開けた。そこには広大な練習場があり、様々な冒険者が魔法を撃ったり剣が宙を舞わせたりしていた。
「皆さん、こちらです。」
案内された先は練習場の一角で、まるでバッティングセンターのような場所だった。
「アリサさんはここで少しお待ち下さい。お二方の試験をしてからご案内させていただきますので。それでは、マサヒロさんとミサトさん、試験のルールをお伝えします。今からお二方には、魔法の飛距離・威力の検査、模擬戦をしてもらいます。一番近いあの的に得意な魔法を当てて頂き、その威力を測ります。その後、こちらが用意している試験官と模擬戦をしてもらって結果を発表する形となります。質問は?」
「大丈夫です。」
「では、準備をお願いします。」
そう言うと、ミランはメガネを胸のポケットから取り出して有沙の隣に立った。
「まさくん、今日は勝つからね?」
「望むところだ。」
「準備はいいですか?では、あちらの的にミサトさんから魔法をお願いします。」