第24話 王宮へ①
遅ればせながらあけましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願いします!
食堂の扉を開けると、見慣れた肉料理を食べている有沙と神村の姿があった。正弘たちは二人を通り過ぎて同じ料理を注文し、二人の隣の席についた。
「緊張してる?」
「そんなに、かな。有沙は?」
「ちょっとね。」
そんな会話をする女子二人の側で正弘も神村と会話を始める。
「お前はどう?」
「俺は王様と会うよりは王宮にいるっていう騎士様と稽古するほうが楽しみだぜ。そういう正弘はどうだ?」
「俺はちょっと緊張するかな?礼儀とか大変じゃないか。」
「あ、そういや気になるといえば、リク様の魔道具のホンモノが見れるって言われたからそれも楽しみだ。」
「あ、それは私も。科学がない魔法の世界らに科学を代替するような機械があるんだもん。見てみたいよね。」
海里が男子の会話に口を出す。
この話題になると正弘は決まって口を閉ざして顔を、分からない程度に赤く染める。今日は話題をそらすことにした。横から出された肉料理を手早く口に運びながら。
「そういえばリクと言えば、その子孫が俺らよりちょっと若い程度だと聞いたなあ。仲良くしてくれたらいいんだが。」
「年頃の男の子で、同じ年齢の中では一番強いらしいから結構威張ってそうだよ?まあ、それもこれもあとちょっとでわかることなんだけどね。」
「そうだな。」
正弘たちは食べ終わった後の皿を重ねて脇において、クローカーに言われた集合場所である石碑の前に向かった。
見慣れた石碑の前に着くと既にクローカーとロイルが待っていた。二人曰く謁見が終わった後は王家や他の貴族の紹介などがあるらしい。あと謁見の間で一部の貴族が何かしら失礼なことを言うかもしれないが、怒らないでくれと言われた。どうやら勇者召喚制度に不満がある派閥があるそうだ。
「準備はできましたか?」
クローカーは一人一人の顔を見てそう言った。
「それではあの魔法陣の上に立ってください。」
石碑の横に綺麗に書かれた魔法陣を指差して言う。5人が立つスペースのある魔法陣の上に6人が少し寄り添って乗った。
「行きます。3,2,1」
1の声が聞こえるか聞こえないか辺りで魔法陣から白い光が飛び出して6人を包む。その瞬間、彼らは英雄の森から消え王宮の転移の間に現れた。
目の前が真っ白になって瞬時に場所が切り替わり、彼らは英雄の森で泊まっていた部屋と同じぐらいの広さの部屋の中にいた。両開きの立派な扉が後ろに立っている。
「魔力酔いなどはないですか?ここは既に王宮の中で転移の間という部屋です。転移するときは必ずこの部屋に飛ぶように強制されるのです。ここからは私たちについてきてください。あと、魔法の使用を遮断する結界が張ってありますのでそこはご注意ください。」
「わかりました。」
扉を開けると荘厳な雰囲気の廊下がそこにはあった。静かな空気の中、クローカとロイルの足音だけが響き、それだけで勇者は気が引き締められる。対して正弘は何度か通ったことがあるのでそんなには緊張していなかった。
所々にメイド服を着た女性や甲冑を着て槍を持った人とすれ違いながらも一定の速度で一行は歩き続け、ついにさっきの部屋の扉よりもとても大きい茶色の扉の前でクローカーとロイルは立ち止まった。
「ここからは失礼のないようにお願いします。扉が開かれたらお入りください。私たちは先に行きます。」
そう言って返答を待たず、隣にいたロイルの肩に手を置いてその場から消えた。転移したのだろう。
しばらく経ったあと重そうな扉がゆっくりと開かれる。
4人の勇者は横に一列になって同時に中へ足を踏み出した。