第21話 魔法の練習
遅くなってすいませんっっっ!東京へ1週間行ってましたっっっ!
熱心に取り組む息子たちと応援する俺、それを微笑んで見ているカナティアの映像はここで切れて、入れ替わって違う映像も流れてきた。
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「わあ!カイト、カタラ!すごいわ!」
カイトは目の前で水の魔法を、カタラタスは土の魔法をそれぞれ出していた。
「わっ!できたっ!あっ」
できた、という驚きで球は壊れてしまったものの、たった1ヶ月でここまでできるのは本当にすごい。流石俺の息子だ、と思えてくる。
「さすが俺の息子だ!さあ、早く家に帰ってお祝いしよう!!」
思ったことをつい口に出していたようだ。俺の言葉を聞いて喜んだカイトとカタラは訓練場内を走り回っている。
「じゃあ、カナティア。ちょっと森で調達してくるわ。」
「わかった。じゃあ、先に帰ってるわね。カイト、カタラ!家に帰るよ!」
「「は〜い!」」
元気よく返事した息子たちの背中と微笑みながら二人を追いかけていく妻の背中を見届けてから、俺は森の中に”転移”した。
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目に見える景色が変わった瞬間、過去を偲んでいたために閉じていた目を開けた。
過去を思い返し終わって、時間があまりなかったことを思い出し、俺は最奥の柱の真ん中に手で触れて魔力を送った。途端に、訓練場も主との再会を喜ぶように、空気の色が暖かくなった気がした。
「やるかー!」
誰もいない、ただ広いだけの訓練場に声が響く。
実質核シェルターのような機能を備えたこの訓練場は、前世のときの俺が作ったもので、今でも自信作のうちの一つだ。
暗黒魔法の一つ、『防御膜』を発動させると、自分の周りにうっすらと膜が出来上がる。言ってしまえば、盾だ。これも自作だが、これの欠点は10回発動させれば、3、4日は使えなくなってしまうことだ。
こればっかりは前世の俺がどうしようもなかったのだからしょうがない。が、機能はもちろん充実している。
次に、天候を操る魔法陣を起動し、比較対象となる竜巻を一つ作り出す。不気味な音をたてるそれを端においやり、俺は練習を始めた。
「『風・竜巻』」
風が静かに後ろから前に向かって吹き、螺旋を描く。地面に落ちていたホコリらしきものが舞い上がって、竜巻を灰色に彩った。ここまでは魔力をもつ人間なら大抵はできる。この魔法が難しいと言われる所以は、それの維持にある。ある程度の高さを保ち続け、なおかつ動かないようにするためには、かなりの魔力とコツが必要なのだ。
竜巻のような形は完成したが、端で唸っている比較の竜巻の高さの三分の一にも満たない大きさで、一瞬目を離した瞬間に消え去ってしまった。
「だめだ、これ・・・」
軽くため息をつき、もう一度魔法を唱える。
何度やっても、竜巻は言うことを聞いてくれなかった。一つ直せば一つ崩れ、それを直せば他の部分が崩れる。
一種の堂々巡り状態に陥ろうとしていた。