第20話 思い出す光景
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「兄ちゃん、待ってよ〜!」
「カイト!カタラ!走るのやめてこっちへきなさいっ!」
「「は〜い!」」
元気に駆け回る息子たちも妻の注意を受けて素直に俺の方に駆け寄ってくる。カイトは6歳、カタラは今4歳だ。
そろそろ魔力の扱いを練習し始める頃合いらしい。カナティアがそう言っていた。小さい頃から魔力を動かしていると魔力の量が増えるそうだ。
前世でもそういう話をよく聞いたことがある、確証はないが。
「カイト。カタラ。今日からは父さんと母さんが時々使う魔法の元になる魔力っていうのを教えようと思う。」
「魔法ってあのどかーんってするすごいの?僕もできるの!?」
カイトが可愛い顔で表情をコロコロと変えて俺に伝えてくる。我が息子はとてもかわいい。6歳ということは日本では小1ぐらいか。言葉も大分流暢になっている気がする。
「できるの?」
顔をコテンと横に倒して兄の真似をしてカタラも訊ねてくる。やはりかわいい。
「できるんだよ。いいかい、この世界の人はみんな魔力っていうものを持っているんだ。もちろん、カイトにもカタラにもあるんだよ。それを使うことですごい魔法も使えうようになるんだ。」
カイトが4歳のときに何も教えなかったのか、と問われるとそうだ、と応えるしかない。カイトが4歳のときからこの訓練場を造り始めたが、色んな所にこだわってしまい、完成までに結構時間がかかったのだ。訓練場以外にもダンジョンの編成もあったので仕方なかったというのは言い訳でしかないとは思っている。
「僕達もお父さんみたいになれるんだよね?やったー!僕頑張ってお父さんみたいな人になる!」
じーん、ときた。危うく涙が出てしまいそうだった。
「ちょっと、リク。早く教えよう?」
「ああ、すまんすまん。」
カナティアから催促が来た。子どもたちを微笑ましそうに見る妻は、子どもたちに早く魔法を使えるようになって喜んでもらいたいようだ。俺は若干出た涙を拭きながら子どもたちに教えていく。
「じゃあ、教えます。魔力はみんなのおなかの中にあるんだ。」
「おなかの中?」
「そう。そこに集中させると何かの塊みたいな、中々動かない物があると思う。それが魔力だ。で、今日はその魔力を動かしてみよう。」
「これ?ん、あれ?全然動かないよぅ。」
「何回も挑戦して頑張ろう。ほら。お父さんもお母さんも応援してるから。」
「うん、わかった!」
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