第16話 森の探索〜スケルトン戦〜
お待たせしました!文化祭といったような学校の行事でダラダラと投稿期日を延ばしてしまいました・・・。2話続けていきます。
道中はさっきのようなお喋りは一切なかった。
一名を除いて皆、沈鬱な表情を浮かべていた。そんな暗い雰囲気も正弘のもうすぐだ、という声で緊迫した雰囲気にさっと変わった。
その言葉通り、前を遮る枝を剣で切った神村の目には、体が骨でできた魔物、つまりスケルトンが立っているのが映った。
相手にはまだ気づかれていない。
フォーメーションを整え、神村は震えの収まった手に剣を持ち、スケルトンに斬りかかる。直前に有沙からの『治癒・初級』がスケルトンに降りかかる。途端に眩しく光り、目に見えるくらい弱り、前に倒れ掛かる。
そこに神村の上段からの振り下ろしが骨を貫いて魔石を切った。不気味に光る赤い目が急に消え、スケルトンを倒したことがわかる。それを確認して、今度は神村がスケルトンに近寄り、傷つけた魔石をくり抜いてポケットに入れた。
今度は倒すときに血が出なかったので精神的なダメージは少ないが、実際に魔法を唱えた有沙は少なからず負っていた。神村の剣にも血がこびりついている。
昼食も持ってきてはいたが、皆どうしても食欲がわかなかった。水筒に残る水だけを飲んで次の魔物に備える。だんだんと皆の口数は減っていき、会話は既に途絶えている。正弘だけが少し元気そうにおにぎりを食べていた。
休憩を長く取っていると、正弘の『探知』にコボルトの群れが引っかかった。大体6体ほどだ。
コボルトとは大型犬より少し大きいサイズの犬で、歳を取る程に人のような二足歩行になっていき、知的になってゆく。なので、群れの長は二足歩行の者が多い。性格は凶暴で、獲物を見つけたらそれがたとえ人であっても襲いにかかってくる。
『千里眼』で見たところ、今回は1体が弓をもっていてそれ以外が獣型だった。おそらくその弓を持っているものが指示を出しているのだろう。
「休憩は終わりだ。コボルトの群れが近づいてきている。6体ほどだ。海里は魔法を使って積極的に倒し、神村はその剣で海里が相手していない奴を切り伏せていってくれ。有沙は俺の横で二人を癒やして。俺は魔法で2人を援助しよう。それでいいか?」
「ああ、いいぜ。でも、一気に6体か。さっきまではずっと1体ずつだったから、急に大変になるな。」
「そうね」
「ああ、海里。くれぐれもその炎で森を燃やさないでくれよ。」
「わかってるわよ。」
群れは全員の目に見える範囲に着いた。全員口を閉ざし、戦闘準備に入る。正弘も食べていたおにぎりをしまって前を向いた。