第11話 訓練&授業
「次は、魔力の説明です。
どの世界の人間でも魔力は少量は持っています。
固有スキルに魔法系が入っている方は通常の人間よりも魔力を多く持つ、ということです。魔力は鳩尾辺りにある魔力炉に蓄えられているのですが、その魔力を使うにはまず全身に魔力を巡らさなければなりません。
まずは鳩尾らへんにある塊を丸く回してみてください。それをずっと続けていればその塊を回すのが速くなります。そうなれば、血を意識する感じで全身を巡らせるようイメージし、その後一部分一部分に魔力を集中させます。
当面の訓練はこれを反復でやっていきます。今日の訓練は、魔力炉を把握し塊を動かすことです。
それでは各々取り組んでみてください。質問があるのならば、私がいつでもお受けいたしますので。」
クローカーは全てを言いきり、手から水を出してそれを飲んでいた。水分補給か。
「自転車のペダルのような感じかな・・・?」と、海里。
「鳩尾・・・ここかな・・・。うーん、どこーー?」
有沙は模索しているようだ。
(俺、どうしよう?スムーズに動かしてたらなんかバレるかな・・・、いや、大丈夫だろう。たまたま魔力操作が上手いだけだ。そうなってくれることを期待しよう。)
正弘はそう思いながら、魔力炉にある膨大な魔力を自由自在に動かしていた。もちろん魔力炉内で。
「おや、マサヒロ様はもう魔力を動かしているようですね。さすが勇者様でいらっしゃいます。」
クロ―カーのその言葉の影響で集中していた2人が横を向く。
「まさくん、コツみたいなのない?」
「うーん、塊はもう見つけた?」
「うん、見つけた!でもこれ全然動かないんだけど・・・。動かしちゃいけないやつなんじゃない?内蔵とか・・・。」
「すっごく固い粘土だと思って頑張ってみたらいいんじゃね?」
3人は再び集中し始めた。
一言も喋らないまま時間だけが過ぎ、頃合いを見計らってクロ―カーは手をパンと叩いて話し始めた。
「そろそろあちらの方も一区切りがつきそうなので、昼休憩を取りましょうか。魔力操作は普通1日の少しの時間でできるものではありません。マサヒロ様が特別できただけですので気にしないでください。今日の夜、寝る前とかにまたこの魔力運動をやっておいてください。」
「それでは、ここからはこの世界の歴史と常識をお教えしていきたいと思います。」
神村と合流して4人で昼食をとった後、勇者は、石碑の前にいつのまにか用意されていた切り株形の椅子に座らされて、クローカーの座学が始まった。
投稿が大分遅れてしまったので、もう1話投稿します。