表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神聖の転生者  作者: 薄明
第4躍 異世界転移
178/231

第7話 部屋へ帰還

「俺の妻は人族でね。龍族式の家があまり好きじゃないらしいから、人族式の家になったのだ。」

「そうだったのか。」



リリーノが部屋から出ていった頃、アエリスがおもむろに口を開いた。



「髪の色、すごくキレイだったな。」

「ああ、ミハナダ?だったか。彼女が言っていたんだがよくわからなかった。」

「そんな言葉俺も知らねぇな。どこか他の国の言葉なんだろう。」


脳裏に彼女の姿を思い浮かべる。


カナティアによく似た姿の彼女。髪の色も瞳の色も違ってはいたものの、雰囲気にどこかカナティアに面影を感じて俺はまた少し感傷的になりかけていた。



「それにしても、まさかアエリスに人族の妻がいたとはな。てっきり龍族かと思っていた。」


出会いが気になり、少し聞いてみることにした。人族は異世界転移者でない限り寿命は短かったから、おそらく最近できたのだろう。



「俺もそう思っていた。父から誰か紹介されて伴侶が決まるものだと思っていたんだがな。」

「最近出逢ったのか?」


「気になるか?そうだな、あれは確か500年ほど前だったか・・・。

妻はその時、人類トップを走っていた。血気盛んだった彼女は俺が管理する英雄の森に挑み、見事俺のところまでたどり着いたのだ。あれは、とても驚いた。

英雄が死んで500年ほど経ち、俺の元に来る人族は全くいなかったのだからな。」



アエリスは過去の記憶を思い出すように遠くを眺めながら俺に話している。


「俺と彼女は4日間にわたって戦い続けた。俺も久々に本気を出したし、彼女はずっと満身創痍だった。彼女は戦いの末、俺のブレスを避けるように倒れていった。突然倒れた彼女を見て、俺は何を思ったのか彼女を

家に連れていくことにしたのだ。それが出会いだったな。」



リリーノさん、そんなに強いのか。こいつと互角って・・・。


家に連れ帰ったアエリスの行動も意味がわからないが、それ以上にわからないことがある。リリーノさんの寿命だ。500年なら俺よりも長く生きている。これはいったいどういうことなのか。




「あなた、そんな話を英雄様にしていたの?恥ずかしいじゃないっ」


噂をすれば、というやつか。恥ずかしいと言いながら表情を全く変えていない。



「リリーノさん、一ついいか?」

「なんでしょう?」

「リリーノさんは人族であると聞いたのだが、人族ならなぜ500年も生きていられるんだ?俺でも300年しか生きていないぞ。」


彼女が予想通り、といった表情を浮かべている。



彼女は少し微笑んだ。

その微笑みは見る者の心をほぐすようだったが、これならカナティアの笑顔の方が断然可愛い!正弘はそんなことを心の中で思っていた。



「昔、冒険者をしていたころ、私は偶然大賢者様を助け、彼にもらった雫を夫との戦いの前に飲んだのです。その雫はどうやら不老不死の効果を持っていたそうで、おかげで500年も生きることができるんです。」


その雫、気になる。不老不死になる予定はないが、超欲しい。



「その大賢者様は今は・・・?」

「今も生きてますよ。時々ここに遊びに来ては色々な魔道具を置いていくんですよ。不便なものも多いので困ってますが。」


とても会いたいが、今はさすがに無理だろう。今日転移してきたので時間ももうそろそろないし。



「大賢者様とはいつか会って話してみたいな、話を聞く限り気が合いそうだ。」

「あら、英雄様も魔道具がお好きで?」


「ああ、昔は結構くだらないもんも作った覚えがある。ところで、アエリスもリリーノさんも”英雄”じゃなくてリクって呼んでくれないか?さっきからずっと気になっていたんだ。ずっと”英雄”じゃあ、俺も照れくさいしな。」



正弘じゃなくてリクと言ったのは、英雄の俺と勇者になる俺とで区別をつけたいからだ。アエリスと会う時はおそらく、俺が有沙たちと一緒にいないときだろうしな。



「わかりました。それで、リク様。そろそろ飯時ですが、夕飯はうちで食べますか?」

「いや、こっちに転移してきたばっかりで人をたくさん待たせているから、もうすぐ戻るつもりだ。今日は、アエリスの元気な顔を見に来ただけだ。また、一息ついたらここへ来るさ。」

「おう、リク。もう帰るのか。前と違ってまたすぐに会える時が来るというのは、嬉しいな。では、俺が門まで送ろう。」



門が開きっぱなしになっていたので、正弘の視線の先にはほんの少しの外に光が見えている。




門の前まで来ると、アエリスは青く輝く毛並みを強調するように龍の姿に戻った。



「乗せてやる。」


言われた通り、正弘は龍の背中にまたがった。前世で死ぬ前よりもこの龍とは親しくなった気がする。


瞬間的に洞窟の前までついた龍から正弘は飛び降り、入り口を境にして龍と向き合った。



「じゃあ、またな。」

「おう、また会おう、リクよ」



俺は別れの言葉を告げると、『千里眼』を使って俺の部屋を見渡す。すると、部屋のドアをノックする有沙に海里と神村が駆け寄っている姿が見えた。部屋の中から返事が聞こえないのを不審がっているようだ。



俺は急いで部屋にあるトイレを見つけると、座標をそこに設定し転移の準備をした。



「じゃあ、元気でな。『転移・部屋のトイレ』」



”神になる””の方、遅くなっていますが、完成次第投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ