第6話 名づけ
めちゃくちゃ遅くなってすいません!!
見た感じ水属性に傾いているようだ。
特徴からいくとやっぱりブルーがつくことになる。が、あんまり長くても呼びにくくなってしまうし、ブルーは安直すぎる。いい名前を思いつくのに意外と時間がかかる。
正弘は、元英雄は考え、考えた結果しっくり来るものがあった。彼はもう一度、龍に向けて『鑑定』を使った。
<<ステータス>>
名前:アエリス
年齢:不明
性別:オス
「お前の名前は、これからアエリスだ。気に入ったか?」
「ありがたく使わせてもらおう。」
少し泣いているようだった。そんなに嬉しかったのだろうか。
感激していた龍は眼前にそびえる大きな扉の前で、正弘を地に下ろし、その紺色の鱗を縮めていった。
人化の瞬間を目の前で見るのは前世を合わせて初めてだった。身体全体が青く光り、みるみる小さくなっていき、最終的に正弘より少し高いぐらいの身長になって包んでいた光も消えていった。
全体が露になり、正弘は少し驚いた。
顔は端正で姿勢がよく、スリムで、とてもイケメンだったのだ。背中からは龍の時にあった尻尾も翼もなくなっている。だが、髪は元々の鱗と同じきれいな紺色だった。
「英雄よ、我が家に案内しよう。」
そう言った龍の姿は完璧に人となっており、俗に言う竜人よりも人に近かった。
龍は、全体が分からない程大きい扉の隣に建てられていた人用の扉に向かって歩いて行った。
龍は扉を開けると、中に呼びかけた。
「おーい、俺の契約者がいらっしゃったぞー!こっちまで来てくれーー!」
装備に婚約指輪とあったから、呼んでいるのはおそらくアエリスの奥さんだろう。俺がいた頃にはいなかったから、相手がどんな龍族なのか少し気になったりもする。
「はいはい。」
そんな声が奥から小さく聞こえてきたと思った途端、その女性は正弘の前に姿を現した。
夫であるアエリスに似たのか、それともたまたまなのか、夫婦揃って身長が高く、三人の中では俺が一番身長が低かった。
「復活の英雄様ですよね?夫からよく聞いてます。私が妻のリリーノです。」
改めて言われると照れくささの方が先に出て、軽く挙動不審に陥った。
軽く息を吐き、心を落ち着けるときちんと彼女に向き直った。言動は丁寧ではあるが、上品さの影に隠れた、凛とした空気が少しずつ伝わってきた。
剣を持たせて戦いの場になれば真っ先に切り込んでいきそうな感じだ。
彼女に促されるがままにアエリスと並んで家に足を踏み入れる。英雄の森の守護者とはいえ、住んでいるところはいたって普通の家だった。