第81話 再訪
大分遅くなりました、すいません・・・。
「正弘ー、次これ一緒に歌おうぜ!」
「俺今歌い終わったとこでしんどいんだけど・・・。」
「いいじゃねえかよ!ノリで行こうぜノリで!」
「こいつこんなキャラだったっけ?」
「わかんない。でもこんなキャラだったんじゃない?厨二病卒業したらしいし。」
「まじか、あいつが卒業とか信じらんねぇ。」
「でも話聞いててそうじゃない?会話が普通になってる。」
「言われてみればそうだな。」
「正弘、なにコソコソ話してんだ?順番来たぞ?」
「お前の番だろ?」
「一緒に歌うって言っただろ。」
「はいはい、わかりました。」
しぶしぶマイクを手に取った。
熱唱している神村にバレないように手を抜きながら、正弘はぼんやりと画面の奥のなにかを見つめていた。有沙と海里は熱心に歌う神村に視線を送っている。画面に映る動画が壁に反射して部屋中が赤や青や黄色に輝く。床もじんわりと水色に光っている。
サビの途中で正弘は気を取り直して歌いだす。急に違う声が響いてきたことに神村は若干驚きながらも途絶えることなく、楽しそうに歌い続けた。
部屋全体が熱狂していた。
不意に、床に輝く水色の光が画面よりも明るくなった。
歌は間奏に入り、神村は音に負けないようにマイクを持ちながら喋る。
「っっ!これは、何かの演出か!?すごいなっ、ここ!」
「こんなの、前行ったときはなかったはずだけどなぁ・・・。」
そう疑問に思う海里を肯定するように、その光は突然あふれだし、同時に正弘たちの視界を真っ白に染めた。何も見えない中、間奏だけがバックミュージックのように流れていた。
「これは!?」
正弘の驚くような声が聞こえた瞬間に、彼らの意識は途絶えた。
これにて第3章完結とします。次話からは閑話を3作ほど投稿し、4章に入る予定です。今後もよろしくお願いします。