第60話 体育祭終了
やっと体育祭が終わりました。少し短いです。
パン!!
と、会話に割って入るスタートダッシュの銃の音。
前の列にいた選手が走り出していく。
緊張が高まる二人。
意外と騒がしい周りの声。
ゴールテープに近づく前の列の一人の選手。
次々に一瞬で感じ、とうとう正弘たちの出番が来た。
流石に競技前なので一言もしゃべらないが、心の中で燃えている闘志は皆等しく盛っている。
そして・・・
パン!
スタートダッシュの音がした。
風はゴールテープの方へ向かって吹いている。
正弘は体を風に乗せて、トップに躍り出た。と同時に横から素早い影が正弘に並走するように走ってくる。
そう、神村であった。
中1のときの屈辱を晴らしたい。そういう思いで並走している神村を突き放そうとする。
しかし、神村は離れない。しつこくついてくる。
そんな攻防を二人で行っているうちに前を見ると、目分量で残り15m程。
正弘はラストスパートとばかりに速度をあげようとする。正弘と神村の間に割って入る新たな影に気づかず、またその影が正弘より速いことに気づかず、正弘は神村に勝ち、両手を上げてゴールまで走った。
「おっとー、あの選手は両手を上げているー!どうやら喜びを隠しきれない様子です!これは競争していた友人に勝ったから嬉しいのか、はたまた1位になったと勘違いしたから嬉しいのか、謎の極みです!」
アナウンスが丁寧に解説してくれた。そのアナウンスを聞いた正弘は少し顔を赤らめながらも両手を下げ、最後の2mを走り終わった途端にその速度で何処かへ走り去っていってしまった。
「いやー、それにしても、正弘は今回もまた見事な黒歴史を作ってくれたなー。」
「もう言うなぁぁ!恥ずい、恥ずすぎるっ!!」
次はそのままクラス対抗リレーだ。アンカーは神村。トップは正弘。そんな位置決めで入場門で待機している。
「私もこれから体育の授業でやってみようかなー、あれ。」
「それならクラス全員で体育のジョギングのときにやったらいいんじゃない?」
「あ、それいいねー。」
「よくないっ!穴があったら入りたいっていう気持ちが完璧にわかったよ!」
有沙も自分のことを積極的にイジりにくる、ということに初めて気づいた瞬間だった。