第10話 実践
お、スキルなんかがあるな。
少し、実験をしよう。
そう考えて、陸は邪魔が入らないうちに、森へ行く。
さて、まずはスピンをこの木に撃ってみよう。
「スピン!」
糸が放たれて、木にまきついた。
「ん?これは一定時間経つごとに糸が締め付けているのか。
「ええと、次は転移魔法と物質転移魔法をやろうか。
とりあえずこの場所を登録しておいて、今は転移できないから帰ってからやろう。その次は回復魔法か。」
・・・よし、風刃!お、これは切り傷が6、7個作れるのか。
ヒール!うん、全部治ったな。成功だな。
次は・・・
「ダークミスト!」
なんか体が軽いような気がする。
「周辺探知!」
というと、自分の周りの半径1キロメートルの範囲で、誰(何)が何をしているかの情報が図であらわされた。
お、この近くにゴブリンがいるな。せっかくだから、スピンを使おうか。
ええと、
「フロータースキル!」
うわ、浮いた!からのスピン!
「ぐらぁぁぁぁぁ。がああああぁぁぁぁぁ。」
叫び声と締め付けられるような音がある程度響き渡ると、あとに残っていたのは、ゴブリンと思わしき生物の残骸だった。
「お、倒したな。それにしてもスピンは便利だな。討伐部位が糸に絡まって取りやすくなる。フロータースキルで宿に戻ろう。フロータースキル!」
戦闘中に無意識に無詠唱を使っていたことにその時は気づかなかったが、何回かそれを繰り返すと意識的にできるようになっていった。
無詠唱の訓練を通して分かったことは、技名は叫んだ方が威力が発揮しやすいという事だけだ。それ以外はいつも通りであった。
ちなみに無属性のところにあった下着を盗む魔法をカナティアに使ってボコボコにされたのはまた別の話である。