第51話 祭りは終わった
今日はこれで終わりかな?終わりです。
翌日から、再び普通の授業が始まった。グラウンドに積まれたままの廃材の山だけが文化祭の雰囲気を纏っていた。その廃材も昼休みには業者に回収されていたが。
「次は球技大会か〜。」
「気が早いよ、まさくん。球技大会3学期だし。」
「だって次のイベントぐらい考えておかないと日常のやる気がなくなるから。」
「なにそれ、引きこもりじゃん。」
「そんなこと言うな。俺はちゃんと学校に来ている。断じて引きこもってなどない。」
「今の日本人に多く見られるよね、そういう考え方。」
「なあ、海里。有沙が怖いんだが。」
「私も怖いよ、有沙。少し落ち着いて。」
「私はずっと落ち着いてるよ〜。」
「余計に怖い〜!」
「着席しろー!朝礼始めるぞー。」
そして何の変哲もない変わり映えがしない日々がまた始まる。
放課後、異世界部の部室に寄った彼は昨日の劇の残骸を見ることになった。
本来、文化祭の残骸は業者に回収してもらうはずだった。だが羽山の貧乏性により、劇の残骸を保存し、来年も使うと言い出し、長屋がそれに反対したことで口論が起きていた。
「だから捨てたほうがいいって言ったじゃない。」
「わざわざ捨てるのはもったないだろう。使えるものは再利用して使わないと。」
「それとこれは別よ。それに来年も同じ劇をやるとは限らないでしょ。」
「似たような脚本を書けばいい。」
「それにしたってこれは邪魔よ。ろくに活動できないじゃない。」
「これは・・・一回引いたほうがよさそうだな。」
そうつぶやき、部屋を出た正弘は何者かに肩を叩かれた。振り返るとそこには名端や徳井がいた。
彼らから、二人が約30分も言い合いをつづけていることを聞き、彼は首をかしげた。
結局、彼らの言い合いは羽山が折れたことで決着がつき、部室に置いてあった資材たちは回収されていった。
「さて、資材も回収されたところでクラブ、始めましょうか。」
「は、はい。」
長屋の声教室の外にいた正弘たちは部屋の中に戻った。
文化祭も終わり、部室の中は少しまったりとした空気が流れていた。特に何をするでもなく、彼らはただ部室の中に座っていただけだった。
「そういえば八島や滝村は来ないのか?」
「見てないです。」
「あいつら、文化祭の時も来ないし、終わったら来るかと思えば来ないし。何してるんだろう。一言ぐらい声かけてくれてもいいのに。」
「二人でデートでもしてるんじゃないですか?」
「え?」
「は?」
徳井が投げ込んだ爆弾発言に、教室は一瞬凍った。
羽山などは壁に拳を突き立てていた。
「さすがに今のはやめたほうがよかったんじゃないかしら・・。」
「そうか?あ、そっか、羽山、振られたんだっけ。」
「今日はもう帰る・・・。」
追い打ちをかけるような徳井の言葉に羽山は完全にノックダウンし、カバンをつかむと彼は肩を落としながら部屋を出ていった。
「あらら・・・。」
「羽山、異世界部の部長になると同時に振られたんだよな・・。」
「すごい振られ方・・・。」
結局その日、羽山が戻ってくることはなく、彼らはただ雑談しながら下校時刻まで過ごした。
近々、徒然草の最終話投稿するつもりです。ぜひそちらもご覧ください。