第32話 長屋先輩と・・・・・・誰?
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「呼んだかしら?」
「うおおわああ!」
「なにその叫び声。」
「私なにかへんなことしたかしら?」
突如として現れた長屋に驚きの声を上げる正弘。そしてさりげなく長屋を睨んでいる海里。
(あちゃー。これ絶対、海里が長屋先輩に嫉妬してるやつだ。というか長屋先輩最悪のタイミングで出てきたなあ。)
「あら、正弘くんの妹の?」
「妹じゃなくて双子です。というか母親が違うので同い年?ん?あれ?」
「正弘くんって再婚してたの?」
「僕の母親と海里の父親です。」
「あー。なるほどね。」
なにかを察したような長屋の言葉に海里と正広は目を見合わせる。
「というか先輩こっちなんですか?」
「ええそうよ。なにか悪いかしら。」
「悪いとは一言も言ってません。ただ同じ方向なのに帰り道あったことがないので少し気になって。」
「私あんまりこの時間帯に帰らないから。」
「でもクラブ行ったらこの時間になるんじゃないですか?」
「私はその後も学校に残ってるから。」
「いいんですか?最終下校は6時ですよ?」
「まあ、そこは色々とあるのよ。」
「じゃあ今日はその色々がなかったというわけですね。」
「まあそういうことになるかしら。」
たわいない話をしているとふと隣の海里の反応が気になった。みると見ると頬を膨らませていた。
「ねえ、まさくん、私のこと気づいてる?」
「え、まあ、そりゃ横にいるから気づいてるけど。」
「じゃあ相手してよ。寂しいじゃん。」
「あ、ごめん。」
(本当に仲いいのね。この二人は。私邪魔してしまったかしら。)
そばにはさらに謎が深まった黒髪の少女、いや、女性と言ったほうがあうかもしれない長屋が微笑んでいた。彼女は静かに二人から離れた。
彼らはそれに気付かず、しばらく歩いてから長屋がいないことに気がついた。
「あれ?長屋先輩は?」
「え?あ、本当だ・・。」
少し安堵したように息を吐いた海里は自分でなぜ息を吐いたのかわからなかった。
「ふ〜終わった〜!」
朝担任から試験一週間前と聞き、少し焦燥感をつのらせたときからあっという間に一日が経っていた。
カバンを背負い、帰ろうとすると目の前に海里が立った。
「ねえ、今日絢香ちゃん家に連れてきていい?」
突如として彼女の口から飛び出した言葉に正弘は驚かされた。
「母さんがいいっていえばいいんじゃなのか?」
「母さんはいいって言ってたよ〜!」
(つまり俺の承認が最後なわけか。というかこれ、俺が断ろうと何しようと関係なく来るやつだな。しかたないか。)
「わかった。いいだろ。」
「やったー!」
正弘の言葉を聞くと彼女はカバンを肩にかけて教室を飛び出していった。
「ったく。期末前だってのに家に友達呼んでなにするつもりだ。というか絢香って誰だ?」
今更ながら話に出てきた絢香という少女の名前を聞いたことがなかったことに気づき、彼は首をかしげた。
「ま、いっか!帰ろ。」
気持ちを振り払うようにカバンを勢い良く肩にかけた。途中若干の衝撃はあったが・・。
「あいたっ!」
後ろで誰かの悲鳴が聞こえた。あわてて振り向くとポニーテールの少女が頭を抑えてしゃがみこんでいた。
そのシルエットに見覚えがなかったため、正弘は慌ててその子の顔を覗き込んだ。