第31話 武道部
あけましておめでとうございます!!!新年一発目の今日の投稿はこれだけにしたいと思います。
改めて、今年もよろしくお願いします。
新しい学校に入り、ようやく体育祭という重大イベントが終わり、俺には期末考査という壁が迫っていた。
「明日から期末考査2週間前だ。中間で苦い思いしたやつもそうでないやつもしっかり勉強しろよ!」
「あーー!中間ででかいトラウマ背負ってるから期末が怖えー!」
「うるさい!黙れ、神村!」
と大声で言ったはいいが気持ち的には同じようなものだった。
前回無駄によかった歴史を覗いてほぼ全教科が平均的という、すでに2回目の中学生の割には低い点数を叩き出した彼は焦燥感に苛まれていた。
「明日のLHRは数学1に変わるからな。注意しろよ。じゃあ、級長、号令。」
「起立!礼!」
「「「さようなら〜」」」
俺は今日も武道部に行く。部活は1週間前になると禁止になり、勉強に集中しなければならなくなるので今のうちに精一杯やっておく。
異世界部には最近顔を出していない。というのも同じ理由だ。
部室の扉を開けると、一人で踊って一人で拍手をする部長がいた。
そしていきなり一人で話し始めた・・・
見なかったことにしよう。
俺は部室の扉を閉め、数分経ってからもう一度開いた。
顔の前で手を組み、何かブツブツ言葉を発していた。さっきよりヒートアップしていた。何が、とは言わないけど。
いつまで経っても部長はやめず、他の先輩も全然来ないので、思い切って声をかけることにした。
「あの、部長」
「・・・」
返事をせず、さっきのブツブツですらなくなった。
「部長」
「・・・」
何も返してくれず、目は半開きで前を見つめている。顔が怖え。
「部長!」
「・・・」
大声で読んでも気づく気配すらない。
「部長!何をやってるんですか!?」
「・・・」
部長の顔の前で手を振るも何も返してくれない。
何分か粘って呼びかけてみるが何も変化はなく、ここから去りたくなってくる。部長がキモす・・・ごほん!
先輩がやってきた。一人。
「先輩、部長は何をやってるんですか?全然答えてくれないんですけど。どうす・・・」
俺は先輩に部長をどうすればいいか聞こうとするが、俺の質問を遮るように、先輩は部長の顔を持っていた鞄で上から振り落とし、横にも凪いだ。
それは衝撃の光景だった。色々と。
そして部長は口を開いた。
「おう、石田。いつのまに来てたんだ?来てるんだったら、言ってくれればいいじゃないか。それにしてもなぜか顔が痛いな。」
「えええええええええええ!」
この日から部長はいろんな意味でおかしくなった。というよりイタくなった。キモくなった。大分引いた。
そんな今日の部活開始前の記憶を思い出しながら、俺は帰路についていた。
(部長になにがおきたんだろ。)
「マーサくん!」
「ん?ブフッ!」
「だっさー!」
振り向いた瞬間顔に激突したカバン。それを振り払うと海里が笑顔で立っていた。彼女は正弘の隣に並ぶとあるき出した。
(こんなこと前世の生活じゃあり得なかったなあ。)
「まさくんさ、異世界部行ってるの?」
「最近行ってないかな。武道部に集中しようかなって思って。」
「じゃああの先輩のとこには行ってないんだ。恋しい?」
「そんなわけあるか。あの先輩のところ行ったら紅茶飲まされるのがいいとこでそれ以外はなにもねえよ。」