第25話 決着
俺は呆然とした。
神村を見ると少し笑っていた。
「聞いてたのか?どこから?」
「よう、マサ。から」
「一番最初っからじゃねぇか!!」
「ごほん。」
神村が合図を出してくれたので、今説得してみようと思う。
「今までの話を聞いていたのなら早い。」
「・・・。」
「俺は・・・小学校の時、ド派手に海里を助けたときから海里は俺の心の何処かにいた。今週末のあのやり方だって本当に海里の心を取り戻したかったからだ。」
「まあ愚策だったがな。」
「ちょっとお前は黙ってろ!」
いいところに突っ込んできた神村に言い放つと再び彼女に向かい合った。
「俺と父さんがこんなで悪い。でも海里に迷惑はかけないようにする。絶対に。だってお前は俺の彼女なんだろ?」
「あれ?まだ覚えてたんだ。」
「ああ、人生の一大イベントだったし。」
言ってしまってから後ろの神村の反応が気になった。
ふと振り返ると彼はいなかった。どこに行ったのか気になったがその疑問も突然の衝撃に打ち消され、消えた。
なにが起きたのかわからぬまま横をみた彼は世界が横向きになっていることに、そして上から押される感覚。
「えっと、海里?どうしたの?」
「だって、一人でいると寂しかったから。」
そういった彼女の顔は正広の胸の中にあった。
(しばらくこのままでもいいかな・・。)
彼らを見下ろす教室の天井は、少し暗かった。
少しすると、クラスメートのしゃべり声が聞こえたので上に乗っかって寝てしまった海里を席に座らせると、俺は授業の準備をしていつのまにか消え出現した神村の所へ喋りに行った。
授業が始まる前、ふと海里の方を向くと、心なしか明るくなったように思えた。