第17話 一家分裂の大事件 第1夜
大分遅くなりました。近いうちにもう2話出します。そこから先はまだわかりません。
閑話は現在進行中です。と言いながらもまだ投稿は出来てませんが。なるべく早いうちに出したいと思います。それこそ今年が終わるまでには。
家に帰ると、俺以外は帰ってきていたので、荷物を部屋に置いて、風呂に入り、食卓の席に着いた。
「正弘」
俺をこう呼ぶのはお父さんだけだ。
「何だ?」
「何のクラブに入ったんだ?」
「武道部だよ。」
「違うでしょ!!嘘つかないで、まさくん!私、まさくんが頭のおかしい異世界部とかいう部活の前で立ち止まっていたのを見たよ!ねえ、なんであんな変なクラブに入るの?」
海里がそう言った瞬間、場の空気が凍り付いた。
「り、正弘が選んだんだから自由にさせてあげたら?」
どうやら母さんはOKらしい。少しうれしそうだった。
今、陸って言いかけたのは俺の聞き間違いか?この行動、陸っぽいのかな。
反対にお父さんは嘆いていた。
「・・・頭のおかしい部活・・・変なクラブ・・・頭がおかしい・・・変・・・」
海里の言った言葉に引っ掛かりを覚えたらしい。何かをぼそぼそとつぶやいていた。
「お父さん、どうしたの!?ね、まさくんの入ったやばそうな部活について話し合おうよ。私は反対だけど。」
「なんで、海里は反対なんだ?」
新しい傷を入れられておかしくなったお父さんは置いといて、反対の理由を聞いてみる。
「テレビとかでよくオタクはキモイとか言ってるじゃん。まさくんをそんなのにさせたくないんだよ。お父さん、なんか言ってよ!!」
「い、言ってもいいのか?」
「いいに決まってるじゃん!」
「その部活・・・。俺が創立したんだよ。異世界部だろ?まだあったんだな。正弘が入ってくれて嬉しかったけど、そうか、キモイんだな。変なのか。頭がおかしいのか。そうか・・・」
海里はお父さんの心に深い傷をつけてしまったらしい。
それにしても創立者が身内だったなんてな。灯台下暗しってやつか。
この部分だけ見ると海里だけが発狂しているようにも見える。
実際は、海里以外がおかしいだけであるが。
「いや、お、お父さん!お父さんがキモイんじゃないんだから。お父さんが作ったんだったら、まさくんが入ってもいいに決まってるじゃない。」
ここでじゃあ、誰がキモイんだ?とは聞いてはいけないだろう。
「じゃあ、誰がキモイんだ?海里」
あ〜あ、本人が聞いちゃったよ。
「うっ・・・・」
「誰がキモイんだ?」
目が少し虚ろになっているお父さんが聞いた。海里の立場が危うくなっていることに気がついた母は止めに入ろうとするが無駄だということを悟った。
悟ってしまった。
それは正弘と父親の目を見れば一目瞭然だった。父親の目は死んだ魚のように、正弘の目は瞳の奥に怒りの炎を煮えたぎらせてきた。
「この問題はあとで話しましょう。」
ひとまず声をかけるものの、空気は変わらなかった。家を包む夜の帳とは裏腹に今にも火花が散りそうな一触即発の状況。
正弘の視界になびく髪の毛が入った。そして一目散に視界から消えていく一人の少女。数秒の後、家が揺れるほどの衝撃とともに玄関の扉が閉じられた。
海里が去った後の家は静まりかえり、居間からは一人、また一人と去っていった。