第16話 異世界部③
ちょっとバタバタしていて遅くなりました。すいません。
「どうしたの?もしかしてこのクラブの本質わかってなかったの?」
「中2の長屋がわかってるのになんでお前らがわかってないんだ?」
言い切ると再び長屋はお茶を飲み始めた。目を離したとき、再び声がかかった。
「坂田くん、だったかしら?」
「は、はい。」
「お茶、いる?」
「はい?」
差し出された紅茶カップと長屋の整った顔を見比べていると羽山が補足説明を出した。
「一応長屋のお茶は受けておくのがこの部の鉄則というかなんというか。美味しいし飲んでみたらどうだい?」
羽山に促されカップを受け取った正弘は一杯のんで少し驚いた。
「これって何茶なんですか?」
「いろんな紅茶をブレンドしたものよ。まあ詳細は聞かないでいただけるかしら。真似されたくないのよ。」
「あ、はい。」
そう返すと部長である羽山が話題を変えて言ってきた。
「ところで、君はこの部活でどういう活動をしようと思っているんだ?」
「先輩たちは何をやっているんですか?」
「ん?まあいろいろだ。その時々によってな。」
優雅にお茶を飲んでいた長屋が声を発した。
もうこの人が部長でも良いんじゃねぇの?とも思い始めた。
「去年の文化祭では異世界モノのライトノベル短編を一人2つ計10本書いたわ。
でも、基本は自分のプライベート空間として使ってくれていいわよ。さらけだしても、いいわよ?」
目でチラリとどこかを見ながら言っていた。目の先が徳井を向いていたことは知らないんだ!
「そ、そんなことはしませんよ。」
「・・・・・・ま、私たちは別に気にしていないわ。遠慮なくどうぞ。」
「別にこない日が何日続いてもいいが、兼部はダメだ。とくに吹奏楽部などはもっての外だ。」
(吹奏楽部と何かあったのか?)
「そうですか、」
「どこに入りたかったんだ?この部の他に」
「武道部です。」
「あ、武道部なら別にいいぞ。」
「なぜですか?」
「異世界に必要そうだろ?」
「は、はあ」
「俺もあそこの部長とは仲がいいしな。」
「ありがとうございます。」
「近々うちの部に入った入部希望者が来ると言っておくよ。」
「では、明日ぐらいに行くことにします。」
「わかった、伝えておく。」
武道部へのツテを用意できた俺が持ってきていた本を読み終わったところで部活が終わるチャイムが鳴った。
「じゃ、またな。」
「さよなら。」
先輩らは勝手に帰っていき、教室には俺一人が残った。
「さて、家に帰ろうか。とりあえず、この部と武道部の兼部をするということを伝えておこうかな。」
今後のペースとして短くて翌日、長くて7日後ぐらいと思っています。ご了承ください。