VRMMO/MMOにおける「ユニーク」について
僕は自分自身が長くMMORPGに親しんできたこともあって、いわゆるVRMMOものの小説を好んで読んでいますが、多くの作品である点が気になりました。それはユニークという言葉・概念についてです。多くの作品がユニークという言葉を単にレアの等級としてでなく、一点ものという意味で使っています。MMO経験者としてこれには非常な違和感を覚えます。なぜならMMORPGにおいて一点ものの装備やスキルというものは基本的にありえないからです。
レアの等級の一つとしてユニークという言葉が使われているMMOは数多くあります。一例として、下から「ノーマル」「コモン」「アンコモン」「レア」「ユニーク」「レジェンダリー」のような等級分けがされている場合などです。
しかし、ゲーム内に一つしか無いという意味でのユニークなアイテムやスキルとなると話が違ってきます。まず、企業がMMORPGを開発して運営することの目的は営利です。つまり月額なりアイテム課金なりでお金を儲けることのできる仕組みが必要です。そのため、ゲームを利用してくれるユーザーは多いほど良いです。そういったことを考えれば、多人数が同じ空間でゲームに参加するというMMORPGの性質上、一点ものの装備やスキルというのは非常に相性が悪いことになります。例えばそのゲームで1人しか持てないアイテムやスキルがあったとして、100人がそれを欲しがった場合、手に入れることのできた1人以外はゲームをやめてしまうかもしれません。開発側あるいは運営側としてそういったリスクを考えれば、一点ものとしてのユニークが存在する余地はほとんどないことになります。
だからといってMMORPGにおいてユニークの存在する余地が全く無いわけではありません。例えば称号というシステムが存在するMMOにおいて、運営者が何かの大会を開催し、その上位入賞者に一点ものの称号を賞品として出す、ということはありえますし、実際に「2013決闘大会優勝」とか「2012決闘大会準優勝」のような形の称号が贈られたような事例が存在します。この場合は称号によって左右されるステータスなどが全くなかったり、微々たるものであるためにありえることだと考えられます。
ユニークなアイテムやスキルによって登場人物が強大な力を得る、ということはMMORPGやそれが体感型になったVRMMORPGにおいては考えづらいことです。もし、世界にただ一つのアイテムやスキルによって登場人物を強化したいのならば、営利という制約が存在するMMORPGよりもファンタジーなどにしたほうが良いでしょう。VRMMORPGやMMORPGにおいて他者と差をつけることができる部分があるとすれば、登場人物(VRMMOにおいてはその脳)が操作するキャラクターの動き(プレイヤースキル)、考え方(スキル構成・戦術・人脈)などになるはずで、その人しか持っていないスキルやアイテムなどではないはずです。