第1話「憂鬱な異邦人」
後で設定上げます。
~歌織Side~
3月末の金曜日
僕は今日、聖應女学院女子寮へと入寮することになっていた。
「それじゃあ姉さん、行って来ます・・・」
そう言って僕は姉さんの車から鞄を取り出す
「行ってらっしゃい、気を・・・つけてね」
姉さんに駅まで送ってもらって電車に乗る。
自動券売機でICカード式乗車券にお金を入れて改札を通り、停車していた早朝の中央線に乗った
[この電車は中央快速の高尾行きです、四ッ谷を出ますと新宿・中野・三鷹・国分寺・立川と立川から終点高尾までの各駅に停車いたします。次は新宿・・・・]
スピーカーからはいつ聞いても個性的な車掌のアナウンスが聞こえている。
少し早い時間帯だがこの路線はは首都圏屈指の混雑路線だ・・・でもそれは上り線の話し。だけど下り線は少ないとはいえ混んでいるな・・・と思った。
僕が編入するのは2年生になった当日、つまり2年生からの編入だ。始業式は4月の月曜日だけどは手続きの関係上僕がむこうで行わなければ行けない物もあったのでちょっとだけ早い出発になってしまった。
今僕が持っているのは身の回りで持ち運べるだけのもの、つまりカメラやノートパソコン、シャーペンやボールペン、携帯電話や音楽プレイヤーなど・・・。
単調な音を聞いているとちょっと眠く・・・なって・・・
仕方なしに僕は携帯音楽プレイヤーで音楽を聴くことにした。
それでも眠くなってきて・・・・・
[毎度ご乗車いただきましてありがとうございました。次は終点、高尾、高尾です。お出口は左側です。高尾からさき大月方面ご利用のお客様は反対側ホームに停車している各駅停車の大月行きをご利用下さい。次は高尾・・・]
車掌さんのアナウンスを聞いて僕は座席をたった。
駅から徒歩数分で聖應女学院女子寮に着く。
過去に数万人の卒業生を輩出してきた学校の寮だけあって、何というか風格を感じる・・・気がするだけかもしれないけれど。
それでも歴史を感じさせる建物だった。旧開智学校に似てるな・・・と思ったけどあれは擬洋風建築だったっけ。
大きな荷物はすでに部屋に運び込まれているらしいので後は僕が整理するだけだと思う。
土日で整理出来ないほどの荷物じゃないし、覚悟を決めなくちゃいけないか・・・。
インターホンを押す
僕はもう覚悟を決めるしかないと深呼吸して
インターフォンを押した
ピンポーン・・・・
あと2年は・・・女の子としての生活か・・・でもやりきるほか無いんだよな、もしボロを出したら・・・油断は禁物。
そう自分に言い聞かせるけど、頭の中は不安でいっぱいな上にやばい・・・真っ白になってきた。
・・・ガチャ
扉の開く音で我に返った
「はい」
ショートカットの女の子が出てきた
心の中で深呼吸して
「本日からお世話になります。鷺宮 歌織と申します」
出来るだけ優雅に女の子らしく笑顔を作る
~陽向Side~
凄く綺麗な人・・・去年のお姉さまとどっちが綺麗かな
笑った顔もすごくかわいい。
「あの、私の顔に何かついていますか?」
いけない、いけないちょっと見とれちゃった
「いえ、何でもありません。連絡はもらっています。今年度の寮監を勤めることになりました宮藤 陽向です」
私も自己紹介
「鷺宮 香織です。よろしくお願いしますね」
改めて香織さんが挨拶してくれる。名前が香織理お姉さまと一緒なんだ。
「えっと香織さんの部屋は、二階の北側ですね、入寮式は新入生が入寮してきてからなので明日ですし、夕食の時間になったら呼びますので、荷物の整理でもして待っていてください」
~歌織Side~
ギシギシと音のする階段を上がって
2階へ上がる、あまり階段は広くなかったのでカメラの入った専用バッグが何度も壁に擦ってしまった。
北側の部屋、そう瑞穂さんが使用していた部屋だ。
ガチャ・・・・
そこには僕の想像を絶する、ピンクの世界が広がっていた。
心の中の僕はきっと口から血を吐いているに違いない・・・それくらいのことがあっても不思議じゃないくらいのメルヘンの世界が広がっている。
ま、まあ基本的に瑞穂さんが卒業してから誰もこの部屋を使ってないからベットとか机とか、基本的には備え付けの物は変わっていないわけだし・・・・でも写真で見せてもらったまんまの壁紙だなぁ・・・。
「すごくかわいい部屋ですね」
一緒に入った陽向さんはそう言うけれど・・・
「そうですか・・・自分のチョイスならばうれしいのですけれど・・・」
そうだよね・・・自分のチョイスならすごく嬉しいけど、僕が選んだ訳じゃないし趣味じゃない。
「そうなんですか?」
意外そうな
「そうですね、知らないうちに決まっていました」
苦笑しながら答えた
一人黙々と荷物の整理をする
「はぁ・・・一休みするか」
コンポから流れているラジオを聞きながらちょっと休憩
時計を見たけど始めてから約30分くらいであらかた片付いてしまった。
ノートパソコンを立ち上げてたけどデスクトップの壁紙を見て変更したくはないけれど、しなければいけないだろうな・・・と思う。結局僕は、仕方なしに壁紙をデフォルトに戻した。
それにしても、ピンクの部屋に一台だけある黒いノートパソコン・・・シュールだ・・・。
結局、休憩と言いつつノロノロと片付けを続けてしまったので5分後には手持ちぶさたになってしまった
「暇だ・・・」
とりあえず、インターネットの環境も整えたし、ネットでも見ようかな・・・。
-コンコン
「どうぞ」
パソコンのブラウザを起動したところでドアがノックされた。
入ってきたのは髪の長い女の子
「ご飯出来たから呼んできてって陽向が」
身長は陽向さんよりちょっと下くらいかな
「ありがとうございます・・・えっと・・・」
普通に応えたけれどこの子の名前知らないや
「優雨・・・柏木 優雨」
ちょっと警戒されてるんだな
「鷺宮 歌織です。よろしく御願いします」
そう言って僕は微笑んだ
「うん、よろしくね 歌織」
そう言って優雨さんは笑ってくれた。もしかして僕が真顔で冷めた印象だったからかな・・・
1階にある食堂に行くと
「3人だけですか?」
予想以上に少なかった、それも2年生が(自分を含めて)3人。
「新入生が入ってくるのは明日ですからね、それでも今年は3年生のお姉さまがいないので最上級生は私たちなんですよ」
にこやかに笑う陽向さん
「そうなのですか・・・」
不安ではあるけれど、何とかなりそうだ・・・たぶん
一応自己紹介を済ませてあるので、正式な自己紹介は明日の入寮式で行うことになった。
第1話投稿です。何が変わったと聞かれるとこの時点では少ないですね。どうもこの辺はかなり前に書いていたので結構忘れてるところがあるみたいです。どうにもならない文才の無さをカバーすべく頑張ってるんですが、どうなんでしょう?というわけで次は第2話ですね