「お兄ちゃん、お野菜食べるかい?」
その言葉と行動に自分の体が固まる。
「お兄ちゃん、野菜食べるかい?」
敬語が消えた!?
…いや違うそうじゃない!
何なんだこのおじさんは!?
見た目はハゲ、体には腹巻きを着けた、見るからに見本例なおじさんが、黒く四角い物を汚い物を触るかのように持ち、自分に見せつけてくる。
明らかに野菜とは思えない物体であり、強いて言うなら板チョコにしか見えない。
何なんだこのおじさんは!??
しかし、その場に止まってしまった影響で、更におじさんは呪文の様に言葉を続ける。
「お兄ちゃん、おさい食べるかい?」
自分が固まっていると、次から次へと、最初に発した言葉とは絶妙に違う言葉を話してくる。
ヤバい人だ、逃げなきゃ!
ようやく、頭に危険信号が届き、その場の異常さを理解するが、
「お野菜見える?」
更におじさんは近づいて、"お野菜?"を見せつけるように自分の顔の前に近づける。
その行動により、自分は尻もちをつくしかなかった。
自分の行動に反応するかのように、更におじさんは自分に近づき、"お野菜?"を持つ手と反対の手を自分の顔の前に近づける。
おじさんの行動に、応えるかの如く、おじさんの腹部に拳を回転させ、プロボクサーのようなストレートをかます。
「うにょぉぉぉお!?!?」
自分でも変に思う声が辺りに響くが、恥じらいはなく、ストレートが命中したことへの喜びが自身の頭に埋め尽くされる。
それと同時に、一気に冷静さを取り戻し、その場から、自身の人生でこれ以上にないスピードで走り出す。
頭の中は、先程体験を思い出すことはなく、その場から逃げ出す事ことで一杯になる。
「ウゴウゴゴ!?」
おじさんの声と思われる音が遠くなるが、
「痛いな!!」
大きな声と共に、一瞬で自分の前に立つ
自分はその出来事に驚く暇もなく、"お野菜?"が目の前に突っ込んでくる。
「痛い!!」
ガタッと体を震わせ
「…?」
あたりを見回した
「学校?」
目の前には大きなため息を吐く、男性が一人、腕組みをしながら、こちらを睨んでくる。
周囲にはこちらをニヤニヤしながら視線を向けてくる。
?彼の手に持っているのは、自分の財布だ。
「何で自分の財布もってるの?」
彼はさっきよりも大きなため息をつき、周囲には笑い声があがる、
「お兄ちゃん、お財布はいるかい?」




