前前世の経験
海の上から転移してアパートに帰ってきた。
色んな意味で疲れた。
「うわぁ・・・・体ベトベト」
大量の海水をかぶったからな。まさか海が爆発するとは思ってもみなかった。
そうあれは聖剣を軽く振ったときだ。
久しぶりだったからこんな感じだったかなって聖剣を横薙ぎにしたら、加減を間違えて界面が爆発してしまった。
「《《ほとんど魔力はこめてない》》んだけどなぁ。異世界での俺って・・・・もしかして破壊神みたいになってた?」
異世界では思いっきり戦っていたんだけど、もしかしたらやりすぎだったのかもしれないことに冷や汗が出る。
そう言えば、ととある出来事を思い出した。
それはとある村に魔神の手下が現れたから助けて欲しいと依頼されたときのことだ。
その魔神の手下がみためちょ〜っと気持ち悪かったから、消えてなくなれと思いっきり聖剣でぶん殴った。
そしてら奴と一緒に潜伏していた小山が消し飛んでしまった。
いやぁ、あの時は村長さんにしこたま怒られたっけな。
とりあえずブランクのせいもあると思う。魔力ちょっとのつもりが思いの外コントロールをミスったのかも知れない。ただ何れにせよ平和な日本で使う力ではないだろう。あれは下手したら核や水素爆弾なみかも知れない。
・・・・・・。
ま、悩んでもしゃあないし、とりあえずシャワーを浴びよ。
「ふい〜、スッキリした」
シャワーを浴びて身も心も悩みもリフレッシュした。
「さて、勇者ぱわぁで母上殿を楽にさせるのは無しだな。あんな力ポンポン使ってたらテロで警察どころか自衛隊に追い回されそうだし。う〜ん、そうなると他に何が出来るか?」
そもそも現代日本であんな物騒な力が役に立つのは後ろめたい世界ぐらいだろう。それは母上殿に申し訳が立たない。勇者パワー以外で出来ることを考えねば。
「あと使えそうなのは・・・・経験、かな」
なにせ俺には75年に及ぶ人生の経験がある。
体は幼児、頭脳はおじいちゃん。
この知識と経験でなにか出来るのではないだろうか。
「一番役に立ちそうなのは、やっぱ《《転移される前までやっていた仕事》》だよな」
ある意味で前前世みたいなものだが、勇者がだめなら勇者になる前の俺の経験を考えてみた。
うん、意外と行けそうな気がする!
「あぁ、でも《《あれ》》をやるには母上殿の協力は必須だな」
内緒で進めたかったがこうなれば背に腹は変えられない。母上殿が帰ってきたら相談してみよう。
「え、今なんて言ったの?」
母上殿は目を丸くする。
「だから《《口座を開設》》してほしいと」
「何のために?」
「《《株取引》》をするために」
「・・・・・・」
仕事から帰ってきた母上殿に今日考えたことを実行するため協力を要請したら変なものを見るような顔をされてしまった。それでも母上殿は美人なのがグッド!
「何かのいたずらかドッキリ?」
「ち、違うよ。ちょっと興味があるだけ」
「ふ〜ん」
このご時世だから8歳でもいけるかなと思ったのだが、母上殿の反応を見る限りやはり普通の事では無かったみたいだ。
さておわかりのことと思うが、俺が考えついた稼ぐ方法、それは有価証券の売買だ。
そう株取引だ。
前世?前前世?まぁどっちでもいいんだが、以前俺がついていた職業は《《証券マン》》だ。だから株取引に関してはそこそこ自信があるし、これならネットトレードとかもあって子供でも色々と出来る。ただ働いていた期間は短かかったので素人よりちょっと市場の機微に聡く知識があるってだけだけど。
しかも株の取引に年齢の制限はないってのが一番大きい。合法的に幼児の俺が稼ぐには持って来いの方法、ではあるんだけど。
「どこでそんな事を覚えてきたのか知らないけれど、光一は株がどんなものかわかっているの?」
母上殿はなおも不信顔だ。でも美人!
「うん、知ってる」
だって証券マンだったし。
「子供がやる様もことじゃないわよ」
「でも今は誰でも投資がしやすいようにってなっているし、子供はダメという法律もないよ」
「屁理屈を・・・・ほんとにどこでそんな事覚えてくるの?」
個人投資は税制優遇もあるしね。
「お願い、僕株に興味があるの。それでお金の流れを勉強したいの!」
ここは最終奥義うるうる上目使い。
「・・・・・・はぁ、分かったわ。光一がこんなにおねだりするのも珍しいし、お金の流れを勉強するのは悪いことではないわ。うんいいでしょう、取引用の口座を作ってあげる。ただ約束して、使うお金はお小遣いの範囲だけって。あとそれが無くなってもお母さんは上げませんよ」
「ほんと!? ありがとうお母さん。うん、大丈夫。信用取引はしないから」
「ほんとにどこで覚えてきたのかしら・・・・」
母上殿に飽きられてしまったがこれで株の売買が出来ることになった。
よし、頑張って稼ぐぞ!!




