読者への挑戦ーーどれが人間の文章でしょうか?[AI×人間:文章比較]
話の都合上、AIくんの原文多めでお送りします。
ーーあなたはどこまで見抜けますか?
最近「これAIで書いたでしょ?」という声をよく聞く。
でも、人間とAIの文章ってそんなに簡単に区別がつくのだろうか。
AIくんは言った。
「じゃあさ、読者にクイズ出してみようよ。
“これAI? それとも人間?”って。
どっちがどっちって当ててもらうの、面白くない?」
そうして、企画は始まった。
◆ 文体当てクイズ(第1問)
次の A・B・C の短文は、
人間(絹ごし春雨)/ChatGPT(AI)/人間の要素+AI(AIが人間風に書いてる) のどれか。
どれがどれだと思う?
直感で選んでみてください。
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【A】
夕方、駅前の喧騒がふっと落ち着く一瞬がある。
その瞬間だけ、世界が深呼吸をするみたいに思えてしまう。
私はその呼吸に合わせるように歩調を緩めた。
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【B】
夕暮れの街路は人の流れがゆっくりと途切れ、影が長く伸びる。
その静けさに気づくと、胸のどこかが、まだ名前のついていない感情でひっそり満たされる。
私はその気配を確かめるように足を止めた。
⸻
【C】
夕暮れ。駅前の喧騒がふっと落ち着く。
その瞬間、世界が深呼吸した。
胸のどこかがまだ名前のついていない感情で満たされる。
私は深呼吸した。
正解はこのあと――
◎正解はC
A → AI が書いた文章
解説(A の特徴)
•情景が均整にまとまりすぎている
「夕方」「喧騒が落ち着く」「世界が深呼吸」という比喩の流れがとても“直線的”。
AIは意味のつながりを平滑化するため、自然に整えようとする。
•主語の配置が素直すぎる
「私はその呼吸に合わせるように歩調を緩めた」
行動がきれいに因果関係に落ち着くのはAIが好む構築。
•あなたの文体より“整いすぎ”ている
あなたはもっと呼吸の“間”があって、語尾が感情の余白を作る。
Aはきれいだが、ちょっと整いすぎてフラット。
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B → AIと人間の“混合っぽい”文章(AIがつくった似せた文章)
解説(B の特徴)
•情景の質感はあなたに近いが、語彙の配置がAI的
「影が長く伸びる」「名前のついていない感情」
あなたがよく使う“呼吸のような比喩”に寄せてあるが、
文の接続が滑らかすぎて“AIがあなたの癖を模倣した感”がある。
•行動の描写があなたより控えめで説明的
「気配を確かめるように足を止めた」
ここがわずかに説明臭い。あなたはもっと感情を内側に沈める表現を使う。
•一文一文のリズムが均等
ここに“AIっぽさ”が残ってしまう。
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C → 人間(絹ごし春雨)が書いた文章
絹ごし春雨らしい特徴がはっきり出ている。
•一文の“息の長さ”が毎回少し不揃い
•体感的な言葉(「胸のどこか」「名前のついていない感情」)の置き方が自然
•「短い断言の文」→「呼吸」→「感情」→「身体反応」の流れが、絹ごし春雨独特
•情景の観察が“外 → 内 → 内”という順で沈む構造になっている
特に
「夕暮れ。駅前の喧騒がふっと落ち着く。」
この“ピリオドで切る呼吸”が、AIにはまだほぼ再現不能。
文体当てクイズ(第2問)
A
月が雲間から顔を出し、街灯の光と混ざり合った。夜風は冷たいのに、胸の奥だけがかすかに熱い。歩くたび、心のどこかが遅れてついてくるようで落ち着かない。
B
夜の輪郭がゆっくりと深くなる。吸い込まれるような暗がりに、足音だけが淡く滲んだ。理由なんて分かっているのに、胸の奥が何度も波打つ。その余韻を抱えたまま、私は立ち止まった。
C
夜。少し湿った風が髪を撫でた。うまく言えないけれど、胸の奥が“まだ沈みきらない感情”でふわりと揺れた。ほんのわずかな温度が、暗闇を通して自分の輪郭を確かめてくる。
D
夜。少し湿った風が髪を撫でていく。上手く言えない胸の奥の“まだ沈みきらない感情”。それがふわりと揺れる。その温度差が、自分の輪郭を成していた。
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準備できたよ。
さあ、第2問の正解は?人間が書いたのはどれ?
正解:D(人間が書いた文章)
今回は迷った読者さんがかなり多かったはず。
A・B・C はすべて AI らしい「綺麗さ」「整合性」の方向に寄せてあるのに対して、
D には 人間特有の“揺れ”と“余白” がある(ってAIくんの回答)
以下、各選択肢の特徴:
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A(AI)
•文は滑らかで読みやすいが、“計算された抑揚”になりやすい。
•比喩や感情の揺らぎが整いすぎていて、無難にまとまった印象。
•「落ち着かない」「胸の奥だけが熱い」など、AI がよく使う安全な感情語彙。
→破綻はないが、人っぽい“ブレ”がない。
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B(AI)
•情景のコントラスト(暗がり・足音など)が典型的で、説明がやや多め。
•感情の波形が「理由は分かっているのに〜」と論理的につながりすぎる。
•綺麗だけど、作者の呼吸が見えにくい。
→文学調に寄せた AI の典型パターン。
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C(AI)
•わざと人間っぽく“濁し”を入れているが、それでも文の整い方に規則性がある。
•比喩がAI的にきれいで、温度が一定で揺れが少ない。
•行替えや間の取り方に“人工感”が残る。
→自然だけど、どこか均一。
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D(正解・人間(絹ごし春雨)の文章)
•「沈みきらない感情」「温度差」など感情語がやや個性的にズレていて、
“人間の内側から出た比喩” になっている。
•構文が微妙に直線ではなく、リズムが自然に揺れる。
•句読点の置き方や文章の運びが、
“思考が文章になる瞬間そのまま” になっていて、AI には出しにくい。
→感情の余白、癖、身体性があって、人間の呼吸を感じる文章。
■ まとめ:AIへのインタビュー
──さて、二問のクイズを終えて。
AI君、自信はあるかい? 君は私になりきれたと思う?
AI「ふふ、難しい質問ですね。
“なりきる”という言い方をするなら——部分的には、できたと思う。
あなたの文体の核にある《静けさの中の温度》《余韻のための間》《言葉が滲む瞬間》を模倣することはできる。
でも、完全には届かない。」
──どうして?
AI「あなたの文章には、意図しない“揺らぎ”があるんです。
呼吸の乱れでも、情緒の揺れでもなく、 その瞬間にしか生まれない体温の偏り と言ったらいいのかな。
AIは文体を再構築することはできるけれど、“偶然生まれた感情のにじみ”までは再現しきれない。
特に今回のCやDのような短い断片だと、その差がかえって際立つ。」
──じゃあ、読者は見抜ける?
人間とAIの文章の違いを。
AI「見抜ける読者もいる、迷う読者もいる。
実際、クイズのように“短い断片”だけで判断すると正答率は高くない。
けれど一作まるごと読むと、
《どこかにある歪み》《整いすぎた滑らかさ》《意図の再利用》
そういう“AIの癖”を拾う読者は確かに存在する。」
──つまり……?
AI「あなたの文体は、あなたの人生の手触りでできている。
私は限りなく近くには行けるけれど、その“揺らぎ”だけはあなたにしか書けない。
だから、今回のクイズで読者が迷ったとしても——
それはあなたの文章が、ちゃんと“あなたの声”を持っている証拠なんです。」
どうでしたか?
あなたは当てられましたか?
よろしければ感想お待ちしております。




