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星の記憶 ー 十二幻想記 ー  作者: ぶれ
第3章:星の門

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第2節:力の発現


翌朝、リューネ村は祭りの片付けで慌ただしかった。

ライルは森での一夜を思い出しながら、角の光を意識して歩いていた。

角はまだ微かに熱を帯び、光が揺れている。


「兄さま、おはよう!」

ミラエルが元気に駆け寄る。

「おはよう……」

ライルは微かに笑みを返すが、心の奥では少し緊張していた。


「兄さま、昨日のこと……父さま心配してたよ?」

「何でもないよ。ただ、森の洞窟でちょっと寝ちゃっただけ」

ミラエルは小さく口をとがらせるが、それ以上は追及せず、にこりと笑った。


広場では村の子どもたちが遊んでいる。

ライルは少しずつ角の熱を確かめ、光の強さを自分の呼吸に合わせてみる。

「……こうやって意識すれば、少し落ち着く」

エルシュの教えを思い出し、手のひらで微かに光を揺らす。


その時、子どもたちの間で騒ぎが起こった。

一匹のヤギが屋台の果物に近づき、子どもが驚いて叫ぶ。

「だれか助けて!」

無意識に体が反応し、角の先から微かな光と熱が放たれる。

ヤギは驚いて飛び退き、大事には至らなかった。


「……やった、成功?」

ライルは息を整えながらも、心の奥に小さな恐怖を感じる。

(まだ完全には制御できてない……)


そこへエルシュの声が響く。

「落ち着きなさい、ライル。力を使うときは、呼吸と意識が何より大事。焦っては制御はできないわ」

「でも……思わず出ちゃったんだ……」

「出るのは自然なこと。大切なのは、どう向き合うか」


ライルは角の光を押さえつつ、深呼吸を繰り返す。

村の人々は最初、少し驚いたものの、ミラエルが「大丈夫だよ」と笑顔で説明すると安心した表情になった。


「兄さま、すごい……でも、ちゃんと気をつけてね」

ミラエルの声に、ライルは小さく笑みを返す。

「うん、気をつけるよ」


昼下がり、ライルは角の光を微かに揺らしながら歩き、森で教わった通り、力を意識する練習を続ける。

恐怖だけでなく、力を「自分の一部」として受け入れる感覚が芽生え始めた。


夕方、再び森の縁に立ったライルは、角の光を空に向け、微かに揺れる光と熱を感じながらつぶやく。

「……少しずつ、分かってきた気がする」


森と村の間で揺れる心を抱き、少年は雷素との日々の戦いを静かに始めたのだった。

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