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星の記憶 ー 十二幻想記 ー  作者: ぶれ
第3章:星の門

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第1節:特訓の夜明け


森の夜が明け始め、空が薄い藍色に染まるころ、ライルはまだ倒木に座り込み、角の光を手で確かめていた。

熱は夜の間も残っていたが、恐怖は徐々に好奇心に変わりつつある。


「ライル、まずは角の光に意識を向けること。逃げずに感じるの」

エルシュは柔らかく語りかける。

「感じる……って、どうすれば?」

「呼吸を整えて、力の流れを頭ではなく体で感じるの。角の熱、血の高鳴り、全身に走る微かな振動――それが雷素の存在」


ライルは深呼吸を繰り返し、手を角に沿わせる。

角の熱が指先に伝わり、青白い光が揺らめく。

「……光が、少し落ち着いてきた気がする」

「いいわ、その感覚を覚えて」


エルシュは少し距離を取り、指先で小さな光の粒を作った。

「これを動かすのではなく、放つ感覚を覚えなさい。力は意思に従うのではなく、導くもの」

ライルは息を呑む。角の先に光が宿り、空気がわずかに震える。


最初は小さく、しかし確実に、角の光は指示に応じて強弱を変えた。

「……俺、できてる……?」

「うん。完璧ではないけれど、初めてにしては上出来。力はすぐには制御できない。焦らず、段階を踏むの」


森の朝の光が木々の間に差し込み、地面に斑模様を作る。

ライルは角の光を確認しながら、心の中で小さく決意する。

(これを……俺の力にするんだ……)


二人は森を抜け、村へ戻ることにした。

「村の人たちには、まだ何も言わないほうがいいわ。慌てて見せる必要はない」

「うん……でも、怖がられちゃうかな」

「怖がるかもしれない。でも、力を正しく扱えるようになれば、君自身も、周りも安心できる」


村に近づくと、祭りの後片付けで忙しそうな村人たちの姿が見える。

遠くでミラエルが小さく手を振る。

ライルは深呼吸し、角の光を押さえつつ、微かに微笑んだ。


森での一夜と、エルシュとの出会い、雷素の初めての制御――

この経験は、これからの訓練と日常の中で、ライルにとってかけがえのない基礎となるのだった。

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