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星の記憶 ー 十二幻想記 ー  作者: ぶれ
第3章:星の門

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第6節:星の門


ライルは自分の部屋の宝物箱の蓋をそっと閉じ、深く息を吐いた。

胸の奥で、角の光と雷石の微かな振動がまだくすぶっている。

(……森でやったことを、誰にも知られたくない……)


そのとき、扉の向こうから父カイロスの低い声が聞こえた。

「ライル、戻ってきたのか」

昨夜、何も言わずに森に出かけ、夜通し帰らなかったことを思い出す。

ライルの胸がざわつく。


カイロスは部屋に入るなり、苛立ちを隠せないまま少年を見つめた。

「何も言わずに行方をくらませて……夜通し戻らなかったのはどういうつもりだ」

ライルは小さく息を吸い込み、目を伏せる。

「……す、すみません……」


父は手を差し出し、ライルの手のひらをじっと見つめた。

微かに赤く、熱を帯びている。

「……これは火の力だな?」

ライルは言い淀みながら答える。

「……たぶん……」


カイロスの角が微かに赤く光り、熱の波動が緊張と苛立ちを伝える。

角の先端がわずかに揺れ、火の力の性質で感情を反映しているのがわかる。

父の声は少し硬く、しかし落ち着きもある。

「まだ発現したばかりなのだから、焦るな。まだ不安定だ」


カイロスは少し間を置き、穏やかさを取り戻した声で続けた。

「森でも村でも、近づいてはいけない場所がある。特に森の奥、星の門のそばは近づくほど危険だ」

ライルは顔を上げる。

「どうして……危険なんですか?」

カイロスは言葉を選びながら答える。

「星の門は、昔は世界の力の流れを調節していた場所だ。昔語った神話の通り、封印される前は力の暴走や戦争の原因にもなった。門のそばでは力が歪みやすく、感覚の不安定な者は知らぬ間に巻き込まれる」

「……巻き込まれる……」

「村でも、代々それを教えている。門のそばは、雷の残滓が残り、火でも水でも力を持つ者には危険が大きい。無理に近づけば、自分も、周囲も傷つけることになる」


ライルは宝物箱の中の雷石を思い浮かべ、胸がぎゅっと締め付けられる。

(……森の特訓、雷石、エルシュ……誰にも言えない……)


夜の部屋に、静かな緊張と秘密の空気が漂う。

星の門の警告と、父の角の微かな揺れ、森での訓練――

ライルはまだ若い体で、少しずつ力と向き合う覚悟を胸に刻むのだった。

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