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星の記憶 ー 十二幻想記 ー  作者: ぶれ
第3章:星の門

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第5節:雷石


森の夜は深く、木々の影が月光に揺れていた。

ライルは倒木に腰を下ろし、角の光を意識的に揺らす。

微かな熱と振動が指先に伝わり、光はまだ不安定だが、前より制御できる感覚を覚え始めていた。


「焦らなくていい。まだ初めてにしては十分だよ」

エルシュの声が森の静寂に溶ける。

ライルは振り返り、銀髪が月光に反射するエルシュを見た。

「見守ってくれてるんだな」

「見守るだけじゃない。少し助けも必要かもしれない」


エルシュは手を差し出し、小さな黒曜石のような石を置いた。

「雷石だ」

ライルは石を手に取り、冷たさと微かな振動を感じる。

「……雷素と関係があるのか?」

「そう。ただの鉱石じゃない。星の門の周辺鉱脈でしか採れない希少な石で、雷素を扱う者のために幻想種が加工してある」


石を握ると、角の光の揺れに連動して熱や微振動が手に伝わる。

「握るだけで、光の状態が分かる……!」

「うん。力を安定させる補助だ。使い方を間違えると暴走して危険だから、焦らず、角の感覚と呼吸を合わせて扱うこと」


森での練習が終わると、ライルは雷石をそっとポケットに忍ばせた。

(……森から家までの間も、ずっと光と手の感覚を確かめられる……)


家に着くと、ライルは自分の部屋の片隅にある小さな宝物箱を開け、雷石をそっとしまった。

箱の中で石は冷たく光り、手の感覚の記憶を呼び起こす。

「焦らず、少しずつ……」

ライルは深呼吸し、雷素との最初の対話を胸の中で反芻する。


エルシュの言葉が心に残る。

「夜の森で星を見ながら光を確かめると、体と力の感覚がよりつながる。無理に抑えなくていい、少しずつ覚えていけばいいんだ」


森の静けさと宝箱の中の石――二つの空間が、少年の雷素修練の始まりをやさしく照らしていた。

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