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星の記憶 ー 十二幻想記 ー  作者: ぶれ
第3章:星の門

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第4節:制御


夜の森は静寂に包まれ、月光が葉の間を揺らしていた。

ライルは倒木に腰を下ろし、手のひらで角の光と熱を確かめる。

角はまだ微かに震え、不安定に光っていた。


「……こうやって意識すれば、少し落ち着く」

父カイロスの言葉を思い出し、呼吸を整える。


その時、背後で低く穏やかな声が響いた。

「生き急いでは行けないよ。君たちは短命なのだから」


ライルは驚き、振り返ると、月明かりに銀髪が光る女性――エルシュが立っていた。

「……え、エルシュ……!」

「ふふ、君の光が暴れかけていたからね。少し見せてもらおうか」


ライルは角の光を手で押さえ、心臓の鼓動が早まる。

「……俺、まだうまく制御できない……」

「大丈夫。焦らず、恐れず、体で覚えるのが先。力は無理に抑えるものじゃない」


エルシュは指先で微かな光の粒を作り、空間に浮かべる。

「まずは光を呼吸と一緒に揺らしてみて。暴れさせず、でも自由に」


ライルは角に手を添え、微かに光を揺らす。

熱と振動が指先に伝わり、意識に応じて反応するのを感じる。

(……怖くない……少しずつ分かってきた……)


「うん、初めてにしては上出来。光は感覚に応じて変化する。力は恐怖で押さえつけるものじゃなく、理解して扱うものだ」


少し沈黙が流れた後、エルシュは微笑みながら口を開いた。

「ところで、夜の森で角の光を揺らすのは初めて?」

「うん……父さんには少しだけ教わったけど、実際に森でやるのは初めて」

「そうか……森は落ち着くでしょ? 星を見ながら、風を感じながら力を確かめられる」


ライルは夜空を見上げる。星々が静かに瞬き、遠い昔の神話をささやいているかのようだ。

「……でも、こんなところで一人じゃ怖いと思ってた」

「ふふ、だから私が来たんだよ。君を見守るのも、森での訓練の一部」


「……エルシュ、質問してもいい?」

「もちろん。何でも聞きなさい」

「なんで、そんなに落ち着いてるんだ? 俺はまだ、自分の力が……」

「力は恐れるものじゃない。恐れるから不安定になる。見て、君の光が少しずつ落ち着いてきたでしょ?」


ライルは角の光を見つめ、指先で熱を揺らす。

「……うん、少し分かる気がする。呼吸と一緒に、光も少し落ち着く」

「その調子。焦らず、急がず。力は時間をかけて、自分と一緒に育てるものだからね」


森の静けさの中、二人の声と、角の光が小さく揺れる音だけが響いた。

ライルは心の中で小さくつぶやいた。

「……俺の力……俺のものなんだ……」


その夜、少年は雷素との戦いを静かに、しかし確かに始めたのだった。

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