4-ピザだって生きているんだ!
「俺は西尾維新を超えなくちゃいけねーんだ!」
そこは溶岩が迸る火山地帯。
俺は思い出した。ピザ魔法を会得する前の話だ。
美味しいピザを焼く街だった。俺は救えなかった。
「戯言かもしれね。でも、よーく聞け。ドラゴン!!」
風も炎も水もすべてが、無駄になる。その魔法。
「俺のすべてをくれてやる!!だから、力をくれ!!」
ピザ魔法の会得は全属性の会得。そして、全属性の破棄。
「最後の炎は尊くもろい!」
「ピザ魔法!!」
世界が暗転した。次に目を覚ました時は、ベットの上だ。
街は溶岩にのまれ、人々は住む場所を失った。俺はそこにいた。
「おれは西尾維新にはなれないのか。」
「俺に憧れをくれよ」
俺は悔やんだ。
「才能なんて何の役にも立たないじゃないか!!何が才能だよ!」
魔法の才能があると言われ、おれはここまでやってきた。あらゆる命を救い、数々の試練に立ち会った。でも
「もうあのピザをたべれないじゃないか!!」
あの環境にすべてあった。ピザのすべてがしかし、
「俺はあの街を救えなかった!!俺は天才じゃない!」
「トム!」
少女が寄りかかってきた。俺が救った少女だ。住む場所を探してここまでやってきた。旅の友だ。
「あなたは頑張ったわ。今回は救えなかったけど」
「俺はあのピザが好きなんだよ!教えてくれよ」
どうしたらいいのかわからなかった。救えなかったピザ。
「少なくともあなたは街の人々を救ったわ。避難させて」
「救うっていうのは街を守ることだろうよ!俺はやめる」
そうおれはやめた。
「勇者をやめる。魔王も倒さない。一人にさせてくれ」
おれはそれから、というもの。ピザしか食べていない。一人旅。