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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パーティーから追放された男・追放した男

作者: ナラズモモ

初投稿です。

是非読んでみてください!( ・∇・)

残念ながら俺ツェーはありません。

 初めはいい人だと思った。


 冒険者ギルドで得意項目欄に回復呪文と求人登録した。丁度回復魔法使いを求めてたパーティーがあったらしく、すぐに声がかかった。リーダーのライナスさんと面接して仮契約で1ヶ月、問題がなければ1年契約を更新するという形になった。これまでパーティーは3人で活動していて、リーダーで守りの要のライナスさん、攻撃役のカインさん、後方支援・遠距離攻撃役のレイナさん。結成3年目で王都で1番勢いのある新人チームだった。僕はまだ活動経験が浅く、プレッシャーに感じていた。けれど、逆に名をあげるチャンスだと思ったんだ。


 初めはいい奴だと思った。


 俺たちは王都で注目されはじめていた。毎回クエストの難易度をあげていたが、壁を感じていた。高難易度のクエストを受注するにはレイナの負担が重たくなっていることが問題だった。そこで回復役を1人雇おうと3人で決めた。すぐにギルドに求人届けに行ったが、受付係に回復役は貴重だから期待はするなと言われた。しかし数日後、丁度いい奴が見つかったと報告を受けた。回復役は貴重だと知らされていた俺は、他パーティーに取られないよう急いで契約を交わした。普通は仮契約期間も3ヶ月くらいのところを1ヶ月にした。この時から俺は間違えていたのかもしれない。



 パーティーに入れてもらってからは毎日が楽しかった。


 リーダーのライナスさんはよく気を遣ってくれて、レイナさんが特に面倒を見てくれた。最初は分からないことだらけでよくドジをしてパーティーの足を引っ張ったけど、それでもみんな嫌な顔せずにカバーしてくれた。しばらくして、僕は攻撃魔法も補助魔法も使えるようになった。神殿で調べてもらうと、僕は勇者の素質を持っていることが分かった。特に補助魔法「サーチ」が強力で、周囲の敵の居場所、数を把握することができた。それでも僕は後方役に徹しつつ、「サーチ」を使ってメンバーを危険から回避させることに専念していた。安定感は増していき、いつからか僕達は王都1番のパーティーと呼ばれるようになった。そして、5人目のメンバーを加えることにした。新しいメンバーはクリス、彼は中距離の攻撃役で冒険者の経験が僕らより長く、彼の知識や経験で僕らは鰻登りだった。

 しかし、そんな楽しい毎日は続かなかった。ある時からカインさんが僕に嫌がらせをするようになった。初めは、ちょっとしたイタズラだった。僕の靴を隠すとか、僕の昔のドジだった頃をバカにするとか。最初は皆んなでそれもおかしく笑っていた。ただ、そんな小さな(ひず)みが毎日続き、僕は段々と嫌気がさしていた。リーダーのライナスさんに相談し、「カインに辞めるように言う」と言われたけど何も解決しなかった。クリスさんやレイナさんにも相談した。本人と直接話し合って解決するしかないと言われ、僕はカインさんと話した。しかし、真面目に取り合ってくれず、しまいには「しつけぇぞ」と怒鳴られた。きっとみんなにもこの怒号は聞こえていたんだろう。それ以降パーティーの雰囲気は悪くなるばかりだった。

 パーティーはギスギスしていたけど、僕は高難易度クエストをクリアするにつれメキメキと成長を感じていた。もっと活躍すればカインさんも認めてくれるだろう。そう思ってパーティーのために奮迅した。僕の努力は結局意味なかった。カインさんが病気で倒れた。回復呪文を必死で施したが、呪文で治る病気ではなかった。カインさんは王都に戻り、4人体制になったが、チームの雰囲気は元通りとはいかなかった。

 そして僕がパーティーに入って3年近く経った頃、突然の出来事だった。ライナスさんに呼び出された。彼は僕にこう告げた。「お前目障りなんだよ」 僕は一瞬彼に何を言われたのか理解できなかった。そうして僕は、パーティーから追放された。

 それから僕は1人で旅に出ることにした。色んな人と出会った。お金はたんまりあったから、家も買って、恋人もできた。僕が追放されてからしばらく経ち、クリスさんと再会した。どうやらあのパーティーは解散になったそうだ。クリスさんはまだ冒険者として活躍しているようだ。クリスさんとしばらく話すうちに、あの夢見てた日々に戻りたくなっていた。だが、妻を置いて旅に出る勇気がなかった。クリスさんとは別れた。またどこかで会いましょうと。

 ある日、神殿で授かった勇者の紋章が光り出した。それから一週間後くらいして、クリスさんが再び尋ねてきた。どうやら魔王が誕生したらしく、勇者の力を持つ僕に魔王を共に倒してほしいと。だが、僕には家庭がある。妻のお腹には赤子がいる。決断できないでいると、妻に背中を押された。「あなたがここにいれば、この家は平和かもしれない。けれど、あなたがここにいたら世界は平和にならない」

 僕は妻を誇らしく思った。クリスさんと共に各地を回って情報を集め、仲間も募った。僕達は勇者パーティーと言われ、世界中で応援された。そして、魔王と直接対決する時が来た。「みんないくぞ!」僕らは扉を開けて魔王の部屋に突入した。


「よぉ待ってたぜ」


 そこにいたのは不気味に笑うライナスだった。



 俺たちは幼い頃から仲良しだった。妹のレイナと俺を慕ってくれるカイン、あの何にもねー村の子供は俺たちだけだった。カインが妹のレイナのことを好きでいることは何となく感じていた。コイツならきっとレイナを幸せにしてくれる。そんな風に思っていた。

 俺たちは大きくなって旅に出た。そして、あの男を仲間にした。名前はアレス、回復魔法使い。アイツは俺たちより経験が浅かったから、レベルの低いクエストから再スタートした。最初は頼りない奴と思っていたがそれは違った。アイツは勇者の素質を持っていて一緒に冒険していく中でドンドン強くなっていった。アイツは後方役として、よくレイナと作戦を立てていた。新パーティーになって3ヶ月ほど経った頃、自然とレイナはアイツと親しくなっていった。レイナのあんな顔を見るのは初めてだった。俺は複雑な気持ちだった。レイナには幸せになってほしかった。カインの気持ちは知っていたが俺にはどうすることもできなかった。

 程なくして、カインがよく1人になるようになった。多分レイナとアイツが楽しくしている所を見たくないんだろう。そう思って俺はカインをそっとしておいた。アイツはやたら強くなった。「サーチ」という勇者だけの魔法を使えるようになった。その魔法で敵の居場所や、宝箱の位置、なんでも分かるようなった。レイナにアイツを副リーダーにしないかと提案された。俺もパーティーの財政面やクエスト受注管理等忙しかったから、提案を受け入れた。

 それからアイツは俺たちに指示するようになった。後ろから敵が来ているだの、奥に1匹隠れているだの、最初は楽だと思ったが、毎回言われると段々とそれが鬱陶しくなっていった。そして、アイツはパーティーの方針にまで指示を出すようになった。次はこのクエストを受けようだの、新しくメンバーを雇ったらどうかと。パーティーの財政やクエストは俺が1人で管理していた。アイツは裏の大変さを分かってねえで指図だけしてくる。段々とアイツのことが嫌いになっていった。アイツがパーティー内での立場が大きくなった影響はカインによく出た。カインはアイツに嫌がらせするようになっていた。アイツのことをうざったいと思っていた分、最初は笑えた。だが、カインの度が過ぎるように思えた。

 ある夜、いつものようにカインが1人で出ていった。俺はカインに流石にやりすぎだとひとこと言おうとついていった。カインはしばらく歩いて立ち止まった。そしてポケットから何かを取り出して火をつけた。カインを呼ぶと、カインはその何かを隠した。おれは嫌な予感がした。無理矢理その隠した何かを取った。カインは中毒性の高い魔草(まそう)を吸っていた。カインは俺に泣きすがって震える声で何度も何度もこう言った。「ごめんライナス兄ちゃん違うんだ」と。おれはただカインを抱きしめ慰めた。「今まで気づいてやれないでごめん」俺も何度も謝った。レイナには伝えなかった。レイナはきっと自分のことを責めてしまうだろうから。俺はカインを王都に送った。

 それからも旅は続けた。俺はもう無気力になっていた。カインをあんな目にしたのに、楽しそうにするアイツが許せなかった。俺はレイナがカインと会えば、病状も良くなるはずだと思った。そして、レイナには何も伝えずに、アイツをパーティーから追放した。程なく、パーティーは解散になった。レイナにはアイツのことを問いただされた。なぜ急に姿を消したのか、カインに関係あるのか。はぐらかすしかなかった。とにかく見舞いに行こうと誘った。カインは毒で弱りきっていた。変わり果てたカインの姿に戸惑いながら、俺たちはカインを勇気づけた。毎日通ってだいぶカインの病状は回復してきていた。

 見舞いに行く途中クリスと鉢合わせた。レイナはアイツのことを尋ねた。クリスは知っていた。どうやら近くの湖畔で暮らしているようだ。レイナはアイツに会いに行くと言ってきかなかった。男の家に行くことがどういうことか分かってるのかとレイナと喧嘩になった。そしてそのままレイナは行ってしまった。

 俺とクリスは2人でカインの見舞いをした。レイナのことは何も言うなとクリスには口止めした。

 

 クリスはライナスとレイナが兄妹であることも、カインがレイナに恋心を寄せていることも知らなかった。その夜、クリスはカインの元を訪れた。クリスはカインに、ライナスがレイナとアレスの密会を嫉妬していたことをネタに、カインを笑わせようとした。ライナスに言われた「何も言うな」は恥ずかしいから言わないでくれと言う意味だと受け取っていたのだ。


 翌朝、俺は病室の戸をあけると、カインが首を吊っていた。俺は膝から崩れ落ちた。そして、2日後レイナが王都に帰ってきた。レイナは無理に元気なフリをしていた。小さい頃からずっと一緒だったから分かる。小さい頃、俺がレイナの大事にしていた花瓶を割ってしまった時と同じ顔をしていた。レイナはしっかり者だから俺に心配させないようにしてくれている。そんなレイナにカインの最期を伝えようにも伝えられず、俺は泣き崩れてしまった。すぐにレイナはカインが亡くなったことを知った。

 それからレイナは廃人と化してしまった。ご飯もろくに取らず痩せこけていた。綺麗でツルツルとしていた髪は抜け落ち、バサバサになっていた。


 俺は一体どこで間違えたんだ。

 もしもアイツをパーティーに入れなければカインが嫉妬することもなかったのに。もしも仮契約期間を3ヶ月にしていればレイナがアイツを好きになる前に引き剥がせたのに。もしもカインが1人になろうとした時に声かけてやれば中毒病にならなかったのに。もしもレイナがアイツに会いに行こうとしたのを止められたらレイナはレイナはレイナはレイナはカインはカインはカインはあんなことに。アイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせいアイツのせい。

追放した側を主役にしてみました。

皆さんはどっちに同情しますか?

処女作がこれでええんかというツッコミは無しで。笑

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