店員は何処へ、あなたはだーれ? なかー
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
私は、扉の影に隠れてました。
「おい、 ガキを何処にやった!」
「…言いません。」
「くそ、もう兵士が来てるぞ!」
「仕方ねぇ。 おい! 家に火ぃ付けろ!」
目の前で私の、お母さんの、お父さんの、家族の家が燃えていきます。
「口割らねぇように親は殺しとけ。」
「おう。」
ドサッ…という音が2回、聞こえます。
それと同時に走り去る盗賊たち。
「フーセブルーム子爵の差し金だとバレないようにしろよ!」
「その辺は抜かりねぇさ。 野郎ども、さっさとずらかるぞ!」
「キャーーーーー! 家が燃えてるわ! 誰か、水を汲んできて! あと城にも連絡を!」
盗賊がいなくなった瞬間、私は影から飛び出しました。
煙を手で扇いで飛ばしながら部屋を見回すと…
「お母さん! お父さん!」
二人は、地面に横たわっていました。
「お母さん、逃げようよ…。」
返事は、ありません。
「お父さん、早く火を消さないと…。」
また、返事はありませんでした。
その時、私は理解しました。もう、お母さんとお父さんはこの世にはいないのだと。楽しく話したり、買い物をしたりすることはもう、出来ないのだと………。
私は、泣きました。
ひたすら、泣き続けました。
時が経ち、家が燃え尽き、灰になっても、私は泣き続けました。
私が泣き止んだ時、周りはすでに一晩過ぎ朝になっていました。
近所の人たちは泣いていた私に触れることはなく、私を見ても煙たいような顔をしています。会話を聞いてみるとどうやら、貴族から何か通達が入っていたようです。『フーセブルーム子爵』の命令だそうです。
昼が過ぎ、夜になりました。
お腹は空きますが、ご飯は食べれません。
一人になってしまった私に、誰もご飯をくれませんでした。
しかし、空腹では私は死ねません。
私は、お母さんとお父さんを殺した『フーセブルーム子爵』へ復讐をしたいのです。
復讐をする、復讐をする。絶対に、復讐を果たしてみせる。
そう自分に言い聞かせながら、私は街へと食べ物を探しに行きました。
一人になってから、二日が経ちました。
食べる物がありません。
水もありません。
もう、足が動きません。
私は、地面へ倒れ込みました。
誰か、助けて……。
そう私が願った時、誰かが私に話しかけました。
『あれ、女の子が倒れていますね。 おーい、大丈夫ですか? 怪我してませんか〜?』
まだまだ続く。
次回 知らない子




