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天邪鬼の異世界雑貨屋  作者: 15夜
王様は逆夢を見るか?
52/60

schadenfreude ⑥

大逆転世界(リバースワールド)》。


 それは、あまりにも強大な力を持つが故に封印されていた、「天邪鬼」最強の技。


 世界中の常識がひっくり返ることもあれば、ただシャーペンの芯が一本だけ補充されている、なんていう至極どうでもいい事が起こるかもしれない、言わば諸刃の剣でもある。








「ど、どうなったんだ…?」


何処からかそんな声がする。


立ち込める煙の所為で、《the road of Familia》は見えない。


でも、私には『視え』ている。


この戦いの終止符が、勝者が、結末が。


その全てが、私の目には『視え』ていた。


…もはやこの目に、『視え』ない物はない。


私達の、勝利だ。







「ど、どうなったのです?」


そう言いたくなる気持ちもわかる。


煙が立ち込めていて何も見えない。


ただ俺の隣で見物していたロッレだけが、目を見開いて練習場の中心を見ていた。


「おい、ロッレ。お前には、一体何が見えているんだ…?」


『《the road of Familia》が…、人間になっています…。これは…どういう…物理法則に反しています…error、errorです…』


「は!? 泥人形が人間になっただと!?」


『はい…、事実です…。想定外、想定外、想定外…error、error、error…』





彼女が壊れた用に呟き初めて少しすると煙が晴れた。そしてそこに見えたのは、白いワンピースを着た青白くなった少女だった。



















「わた、しは…?」


わたしは…、だれ?


きおくが、ない。


なにも、ない。


こわい。


とても、こわい。


なにも、わからない。


「だ、れか、いる、の?」


そう、といかける。


でも、へんじはない。





ぐー、と、おなかがなる。


…わたしは。


なにもわからないまま、しぬのだ。


ああ、かみさま。


どうか。


いるのであれば、わたしをあいしてくれるひとをください。


…ただ一つの魔法(泥人形)であったこんな私を、心から愛してくれる人を。

また、次回。


次回 出来たら

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