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天邪鬼の異世界雑貨屋  作者: 15夜
王様は逆夢を見るか?
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しかし、賽は投げられた はこべら

「と、いう訳で、俺が一番強いと抜かす愚か者に、制裁を加えることとなった。」


「いや、理解不能です、ハイド様。それと模擬戦がどう繋がるので?」


「わからんのか? そいつとやるんだよ、お前らが。本当に強かった場合は学びになるし、弱かった場合はお灸を据えられる。悪くないと思うんだが。」


「…はぁ。」


「それに言うだろ? 『売られた喧嘩は買え』って。」


 売られた喧嘩は買え、とは、この国の初代の談である。先人は、随分と野蛮なものだ。


「…………わかりました。で、私はどうすればいいのですか? 場所は訓練所で良いとして、誰が闘うんです? 少なくとも、私は嫌ですよ。」


「…君、一応近衛の隊長だよね?」


「気に入らないのなら辞めますけど?」


「……辞められたら困るの分かってて言ってる?」


「ええ。」


 そういうこいつは、ラステリカ・セルハート。俺の学友にして、この国のエリート中のエリートを束ねる、近衛隊の隊長だ。勿論謁見の時等は臣下として行動するが、こういう打ち合わせの場では軽口を叩いてくる、ある意味貴重な存在だ。


「取りあえず、世間体の問題で私も出ますよ。あと妃様に怒られそうですし。」


「よろしく頼む。…………あとあいつ、出せるか?」


「………あぁ、ワントですか。別に出場させられますが…。本当にいいんですか?」


「何がだ?」


「この国の大人じゃ、魔法においては彼女に勝てないって事になりますよ?」


「事実だからしょうがないだろ。あれか? 下っ端の奴らが気にする、プライドってやつか?」


「……そうです。そういう事もありまして、彼女は出さない方が…」  


ガチャリ


「その話、私にも聞かせるのです!」


「…っ!聞いてたのか、ワント!」


「あー、あ。終わりだ。」


 この話の台風の目、ワント・ア・イレブン。今年でまだ14歳だというのに、4属性全ての魔法を使える若き天才だ。………その代わり、小さい頃からなんでも出来たので、かなり我儘だ。正直、とても扱いに困っている。


「模擬戦、私にも参加させるのです! この私を差し置いて『さいきょー』を名乗っている愚か者は、私が成敗するのです!」


「…出場するのはいいが、相手、焼くなよ? 嫌だからな私、黒焦げになった相手を蘇生師(リザレクシャン)が必死こいて蘇生(リザレクション)掛けてんの見るの。」


「そんなの、あの程度の魔法で負ける奴が悪いのです。」


 …実際、本当にあったからなんとも言えない。あの時は、流石に対戦相手に同情した。


「あー、まぁ、わかった。王の権限で許可してやる。…今回に関しては、王宮侮辱罪も若干含まれてる部分もある。…………思いっきりやれ。」


「アイアイサー!」


「……おい、ラステリカ。『アイアイサー』って、なんの挨拶だ?」


「…さあ? 過去の勇者が伝えた、気合を入れる掛け声である、としか言えません。」


「……はぁ。この先、不安だ……。」


「……全くです…。」


 とはいえ、こんだけの勢力があれば、奴には勝てそうだ。

唐突に魔法の話が出て来ましたが、次か次の次くらいで説明描写するのでしばしお待ちを。仕組みにオリジナル性はあんまりないので。


次回投稿 上の設定を上手く盛り込めたら

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