「あれ」
レンジアに友達が出来た翌日、二人でのんびりとご飯を食べていると…
ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー! ビーーーー!
「明暗さん!?なんの音ですか!?」
「客が接近してる音だよ。」
「なら、こんなに怖い音にしなくても…」
「こっちの方が緊張感が出るだろ?」
「…それは…そうですけど…。」
「そういうわけだ。レンジアはのんびりご飯でも食べててくれ。私は店番をしてくるよ。」
「わかりましたー。」
と、という流れがあって、この店にレンジアが来て以降初めての客が来た。
<ガラガラガラガラ
<ガシャン!
さて、どんな客かな。
「いらっしゃいませ。暗明堂です。何かお探しの商品はございますか?」
そこに立っていたのは、この国の王様だった。見てきたからこそ思うのだが、私はこいつはいつか、ここに辿り着くだろうと思っていたのだ。現実を曲げ得る信念と、忍耐力。…「あれ」を、押し付けるには十分な逸材だ。…まあ、私にはこいつにあれを使いこなせるとは思えないがな。
「……………この店はなんの店だ?」
「ここは天邪鬼の店、暗明堂。天地を逆する力であなたの願いをほぼ全て叶えて見せましょう。」
「………なら、有ったかもしれない世界を現実にする力をくれ。」
ん?天邪鬼って何とか聞かないの?
「それはまたどうして?」
「…何故、言う必要がある。」
「この商品は強力すぎるゆえ、お客様に制御出来るかを見極めさせてもらいたくてね。」
嘘だけど。
「消えた娘を、取り戻すのだ。」
…あれ?もしかしてレンジアのことバレてる?せっかく最高出力の《逆転世界》使ったのに?…不味いな。でも、「あれ」なら、無色の夢なら大丈夫だ。問題ない。
「なるほど、その大きさの夢なら制御出来そうですね。では、こちらはいかがでしょうか。」
そう言いながら、カウンターの上に私の背丈程の白い大きな杖を出す。これこそかうちの不良在庫にして今回の切り札、無色の夢だ。
「なんだ?これは。俺は魔法は使えんぞ。」
「ご安心ください、こちらの商品、貴方の「夢」をエネルギーにするのです。」
「…なん、だと…?」
「その夢が大きければ大きいほど、より願いが叶います。」
「…貰おう。いくらだ。」
「50万レドです。」
「…………………………………これでいいか?」
…50万ピッタリ出てくんのかよ。
「はいピッタリいただきますね。では、ありがとうございました。」
「……ああ。」
「…もどるか。ご飯食べに。」
これさえ、これさえあればレンジアは戻ってくる。これさえあれば…。
ははは、はは、はははははははははははははははははははほはははははははははははははははははははは
新年明けましておめでとうございます。今年も失踪しないように頑張ります。
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