Lost frame 1 異世界転移
やあ、僕の名前は禍鏡守唯我!
いつも元気な、至って普通の高校生だ。
運動は得意な方、成績もそこそこ、絵から家事までなんでも出来るぞ。
ある日クラスで過ごしているといきなり光って前が見えなくなり、気がついたらクラスのみんなが異世界にいたんだ!
異世界にいたっていっても自分たちで確認したわけではないけれど、魔法やレベル、魔物を見せられたら信じるしかないよな!
また、俺たちには転移の際に「スキル」が付与されているそうだ。
俺の付与されたスキルは《根性》。自分やみんなのパワーを上げられる、俺にとってもピッタリなスキルだな!
この国の王様が言うには、今この国は周辺の国に抑圧されているらしい。
そこで逆転の一手のために、俺たちを呼んだってわけだな!
ははっ!
俺たちを呼んだからにはもう安心さ!
俺たちクラスの団結力は世界一なんだぜ?
そんな問題、すぐに解決してやるぞ!
みんなの力でこの国を助けようぜ!
なあ、みんな!
そうだろう!
私は、いじめられていた。
無視はお馴染み、物を隠したり捨てられたりはしょっちゅうだ。
いじめを始めたのは、禍鏡守唯我。
いじめの動機に、私の非が合ったわけではない。
あれは、異常だった。
日常を侵食する、明確な異常。
だが、あの日、あの日から、私へのいじめが始まった。
彼らは覚えていないだろうが、私は今でも鮮明に覚えている。
いじめが始まったあの日を。
何気ない日常が一気に絶望へと塗り替わったあの日を。
私は彼らを許さない。
私の行動の全ては復讐の為に。
思考の全てを彼らの絶望の為に。
私の生活を、もうこれ以上、彼らに奪わせない。
その為に、私は今日も、祈る。
どうか神様、彼らに報いを。人生を踏み躙って喜んでいる彼らに、制裁を。
私は、祈る。
この明確な、修正の効かない、出来損ないの異常の解決を。
クラスの他の人が消えてしまったあの日、私だけは教室に取り残されていた。
というよりも、1-¡組そのものが消えていた。
私の所属は1-Bとなっていた。
クラスの他の人に1-¡の事を聞いてみたが、答えはどれも「知らない」であった。
みんなは消えたが、私は残った。
みんなの平凡な日常は消え、私は平凡な日常に戻った。
神への祈りが通じたのだろうか。
神が、私に救いをくれたのだろうか。
違う。
そうではない。
あの日から、私の視界には、明らかにこの世の物ではない者が見えるようになってしまった。
気にしなければ楽である。
しかし、無視が出来ない。
何故なら、彼らは「話す」という技術を持っているから。
自らの叫びを、苦痛を、伝える術を持っているから。
姿形は違えど、生きている世界が違えど、彼らは生きているから。
今日も彼らの悲痛な叫びを聴きながら、私はあの日からずっと視界の端に写る、〚レベル1〛という光の点滅を、異世界へ私を呼ぶ悪魔の囁きを、無視し続けている。
何故、私だけが取り残されたのだろう。
あの“儀式“は何だったのだろうか。
何故、みんなの記憶から彼らは忘れられているのか。
何で、何で私を苦しめてまで、生かすのか。
何故、何、何故、何。
頭の中が「何故」と「何」で覆い尽くされ、身動きが出来なくなった時に「それ」は現れた。
その姿はまるで。
まるで、
まるで、
人のようだった。
帰ってきて、雑貨屋要素。
次回、明暗君に戻ります。多分。
投稿予定:12月か1月。




