今日はお祭り
お試し投稿part2です。
まだ主人公は出て来ません。
「おはようございます。レンジア様。」
今日もメイドの方が私を起こしに来ました。ただ、いつもと違うことがひとつあります。それは…
「今日は年に一度の建国記念日ですので、お早めにご準備をお願いします。」
そう、建国記念日。待ちに待った楽しいお祭りです。そしてこの日のみ屋敷の外、つまり町の自由な散策が許されています。
私がこの国の王の一人娘だということもあって、三ヶ月前に私が十四歳になった時の誕生祭以来、学業以外で外に出れていません。ですが、今日はお祭りなのでその分、町の警備は厳重になっています。
…お父様は頼めば外出を許可してくれるでしょうか。
二階の自室から三階の執務室へ行くと、お父様は警備の最終調整をしていました。
「お父様!お祭りに出掛けてもいいですか?」
「…レンジアも十四になったから自衛もある程度出来るだろうしいいだろう。その代わり、怪しい人には近づかない事。いいね?」
「はい!わかりました!」
お父様に外出の許可が貰えました!今日は私のお気に入りのドレスで街に降りましょう!
「…困ったものだ。」
レンジアには外出許可を出した後、俺はそう呟き、ため息をついた。
その理由は王族に付き物の結婚だ。ただでさえ隣国であるハイビスリアが勇者の召喚に成功したと発表したというのに、その国からレンジアに見合いの誘いが来るとは。
…この見合いは絶対にレンジアの為にならないから潰したいのも山々だが、勇者のことを考えると止めるわけには行かない。一応レンジアには「勇者のオーラ」の話はしたが、それも絶対とは限らない。あぁ、レンジアの身に何もないといいが…
お気に入りのドレスに着替えた後、私は屋敷の外に出て色々なことをしました。老夫婦の経営するパン屋に立ち寄り焼きたてのパンをいただいたり、異世界の勇者が伝えたとされる「ダアツ」なる遊びをしたりと、お屋敷にいる退屈ないつもとは違う充実した時間を過ごしました。しかし時間は早く過ぎ去るもので、気づいた時にはもう日が暮れかけていました。 あまり遅くなるとお城で開かれる晩餐会に遅れてしまいます。
最後に寄った雑貨店の者に別れを告げ、後ろ髪を引かれる思いで屋敷に戻っている最中、不意に異変を感じました。あまり人通りの無い裏通りに、普通では感じない物凄い気配を感じました。
前にお父様から、
「いいか、レンジア。ハイビスリアが勇者の召喚に成功したと発表した。無いとは思うが、不足の自体に備えて勇者の見分け方を教えておく。異世界の者が召喚される時は必ず凄いオーラのような物が出るそうだ。いいか、オーラを感じたらすぐに逃げるんだぞ。」
という話を前に聞いていました。が、つい魔が差してしまいました。その気配の正体が気になってしまったのです。
「…ちょっと見るだけなら、大丈夫だよね?」
私は、裏通りに足を踏み入れました。
ゴミの散らかった道を歩き、角を何ヵ所か曲がり、一番気配を感じる所に着くと、私の目の前の建物に
「暗明堂」
という看板と
「OPEN」
という木製の札がついていました。
そこは、報告された書類上は空き家になっていたはずなのに。
初投稿ですので文字数の物足りなさ、文章の書き方など至らない所もあるかと思いますが、よろしくお願いします。
2022-9月9日 大幅に加筆・修正しました。
2023-1/9 より読みやすいように修正しました。