逆転する平穏
おまたせしました。二章スタートです。
明暗さんのお店で働き始めてから1ヶ月が経ちました。
始めた当初は大変だった仕事にも慣れ、先輩にも恵まれ、楽しい生活を送っています!
…ということはなく、先輩がいないどころか客すら来ていません。なんでこれで日常生活が遅れているのでしょうか。意味不明です。
「朝ごはん出来たよー!」
「わかりましたー!」
朝を食べ、
「昼ごはん出来たよー!」
「今行きまーす!」
お昼を食べ、
「夜ご飯できたよー」
「はーい!」
夜を食べる、というサイクルだけで一日が過ぎています。
このままでは廃人になってしまいそうです。おまけに明暗さんの倉庫にあった「0から始める自宅警備員」という本が私が部屋から出ることを拒みます。
だってこの本、面白すぎるんです。絵がカラフルになっていてこの本の文字が読めない私にも内容を分かりやすく伝えてくれます。
なんでこんな本が倉庫にあったのかを明暗さんに聞いても、「あはは…。まあ、そういうものもあるよ。それより…」とはぐらかされてしまいました。何か、秘密があるのでしょうか。
お城暮らしではあり得ないほど堕落しきっている生活を送っていたある日、二人で朝ご飯を食べていると明暗さんがこんなことを言ってきました。
「倉庫の整理をするぞ。」
「…倉庫?」
「ああ、言ってなかったけ。うちの店には倉庫があるんだよ。君が持っていった本みたいなあまり売り物にならない物が積んであるのさ。じゃあ、行くぞ。」
あの本みたいな物がたくさんあるのであれば、ここで遊べるものも少しはあるでしょう。わくわくしてきました。
「で、どこに倉庫があるんですか?この家でそれらしい所は今まで見かけていませんが。」
朝ご飯を食べ終わりしばらくして、私は明暗さんに聞きました。
「倉庫はな、この家にはないのさ。」
「では、この近辺に倉庫を借りているんですか?」
「借りてもいないぞ。」
「じゃあ、どこにあるんですか?まさか違う国とかでは…」
「ちょっと待ってな。これから出すから。《逆転世界》!」
「???」
明暗さんがスキルを使うと、なぜか彼の髪が急に伸び、色も黒から白になりました。理解不能です。
「よし、行くぞ。」
「……状況の説明を要求します!なぜスキルの効果で性別が変わるんですか!」
「なんでって言われても…。何かおかしいか?私の能力はひっくり返す力だぞ。元々の性別が男なんだから逆にしたら女になるに決まってるだろ。」
それはそうですが、私が言いたいのはそこではないのです。どこかというと…
「なんで、スキルの効果で選べないはずの性別が選べるんですか!」
「……………わからん!!」
「えー…。これ、分からないですましていい問題何ですかね…。」
「まあ、天邪鬼だから。きっと大丈夫。きっと。」
「それでいいんですか…。」
今日も、明暗堂は平和です。多分。
一個前の話で報告しましたが、二章の章題変更しました。前のものは三章になります。
思っているよりも遅くなりました。これを反省するとともに、反省と言っているのにあまり反省しているように見えないことを反省します。
次回投稿、来週予定です。




