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ここは江戸時代!?

事故にあい、光に包まれて知らない場所にやってきた平凡な大学生の桃太郎。


世話になるおじいさんとおばあさんの家にいるとよからぬ噂を耳にする。

「さあ、桃太郎さん。わしらの家はこちらですじゃ。」


おじいさんが指さしたのは時代劇に出てきそうな古めかしい家だった。


「なんだ?いくら田舎とはいえこの作りは…。現代の家とはとても思えないぞ。」


桃太郎がボソボソとつぶやいているとおじいさんが嬉しそうに言った。


「わしらの自慢の家なんじゃ。さっき弟がいると言ったろう。その弟が江戸で大工の頭をしていてな。」


おばあさんと口を挟む。


「そうそう。その弟がいろいろ職人を手配してくれてな。建ててくれたんよ。」


桃太郎の耳にはおばあさんの言葉はまったく耳に入ってこなかった。


「江戸…だとッ」


江戸?


江戸は江戸時代だよな、江戸は東京?


わけがわからなくなってきた。ここは江戸時代ってことか?


「やれやれ、江戸ってことは簡単に帰れそうにないってことか」


おじいさんとおばあさんはずんずん進んで行き、家に入った。


桃太郎もあわてて追いかける。


「なあ!世話になるんだから、2人の名前を教えてくれよ!」


「ああ、そうじゃな。わしはこの家の主人、久宇里きゅうり進次郎」


「ばあさんの名前は久宇里うめじゃ」


桃太郎は思わずよろける。


「久宇里だって!それじゃあおれの先祖ってことか!?なんて日だ!」


「どうしたんじゃ、桃太郎。さあ、茶でも飲んでくだされ。」


「ああ…。いただくぜ」


まだ全然気持ちの整理がつかない。


ここは江戸時代で、この2人は桃太郎の先祖らしい。


「ったく、とんでもないことになったぜ。」


「まあ、すぐに帰れそうにないし、ここで世話になりながら帰る方法を調べよう。」


桃太郎は立ち上がる。


「さあ、一休みしたし何か手伝うことはないかい?進次郎さんとうめさんよ。」


進次郎とうめは嬉しそうにいう。


「ええなあ!それでは外の薪割りでもしてもらおうかのう」


「合点!」


桃太郎が自信があるのにはわけがある。


実は桃太郎、空手の有段者。


父親が道場の主で小さい頃からしごかれてきたのだ。


現代の若者ならまずしたことがなく、すぐ根を上げるであろう薪割りもお手のものなのだ。


「ったく、父さんから無理矢理やらされていた薪割りトレーニングが役立つとはな」


桃太郎は道具の場所を教えてもらうと、さっそく作業に取り掛かった。


「ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!セイッ!」


あっという間に薪が積み上がる。


進次郎とうめは目を丸くしている。


「ふう、いい汗かいたぜ。」


そこへ30代くらいの男がやってきた。


「よう、若いの生きがいいな!久宇里のじいさん、お宅にこんな若いのがいたっけ?」


「おお、実はわしの弟の息子で、江戸におったんじゃ。」


ばあさんが合いの手を入れる。


「そうそう、名前は桃太郎ですじゃ。弟からの荷物を届けるついでにしばらくここにおるんじゃ」


おじさんはうなずきながら、


「そうかい!いいな!この村は若いのが少ないから嬉しいぜ!よろしくな」


桃太郎は手を差し出す。


「俺は桃太郎だ、あんたは?」


「俺か、俺はこの村の兄貴分猿渡猿田彦。イケメンだ」


猿田彦は手を握り返す。


「イケメンは余計だよ。」


桃太郎と猿田彦は固い握手を交わした。


「ところで久宇里のじいさん、鬼どもの話は聞いたかい?」


猿田彦は急に深刻な顔で切り出す。


「ああ、聞いておるわ、どの村も食料や貴重な品を盗られて難儀しておるらしい」


鬼だって!?


そりゃ江戸時代だから現代の日本にはいないものもいるだろうが、鬼とは…。


「全身が赤く、角も生えているとか。老いも若いもこの上なく恐れているな…」


猿田彦はため息をつきながら、


「まったくだ。こんな時村の伝説では救世主が現れて、災難を取り払ってくれるらしいが…まあ、期待薄かな!」


ほう、そんな伝説があるのか。


そんな時若い女性の声が聞こえてきた。


「おーわーい!進次郎じいちゃん、うめばあちゃん!」


そこにはやけに派手な着物を着た女が立っていた。

恐ろしい鬼の話を耳にした桃太郎。


村の伝説にある救世主は本当に現れるのか。


そしておじいさんとおばあさんの元に現れた女の正体は?


次回を期待して待て!

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