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桃から生まれた桃太郎

さっきまでバイト先に向かう途中に事故にあった大学生の桃太郎。


このまま死んでしまうのかと思ったら、光に包まれ意識を失ってしまった。


目が覚めるとなぜかフカフカの桃の中にいて!?

「ッなんだよ!死んじゃったのかよ!」


平凡な大学生、久宇里桃太郎はバイト先のコンビニ向かう途中事故にあってしまった。


それが意味するのは「死」。


…のはずだったがなぜか目の前が急に真っ白になり、そこに吸い込まれていったのだ。


「どうなってんだよ…急に意識が遠のいてきたぞ…?」


薄れゆく意識の中、桃太郎は光に満たされていった…。


「冷蔵庫のプリン食べてから出かけるべきだったぜ…」


桃太郎はプリンが大好物なのだ。


そんなこととは関係なく、光は桃太郎をどこかに連れて行く。


















光に包まれた後、桃太郎の視界は一気に暗くなった。


どれくらい時間が経ったのか…。


1時間か、1日か。


「ッて!」


桃太郎の目が開いた。


「???なんだここ?」


さっきまでバイト中のコンビニに向かっていたのでいるとしたら、そこか、事故ったので病院のはず。


でも目が覚めたのは河原だった。


それも何かフカフカしたものに腰掛けている。


「なんでこんな場所に?」





「おお…開いたぞ!」


声が聞こえた。


「そのようですね、おじいさん」


おじいさんとおばあさんの声が聞こえる。


桃太郎はフカフカの場所から体を起こし、外に出てみた。


そこには小柄で、人の良さそうなおじいさんとおばあさんが立っていた。


「おお…桃から人が…」


おじいさんがつぶやく。


「なんだ、桃って?」


桃太郎は自分が出てきた場所を振り返ると、なんとそこには超巨大な桃からあった。


さっきまで桃太郎が腰掛けていたのはこの桃の中だったのだ。


「なんでこんなものの中に?まあいいか。どうやら助かったみたいだな。」


桃太郎は河原に降りた。


一度も訪れたことがない場所。


それは間違いない。


遠くに家らしきものが建っているが、なんかやけに古くさい。


「???」


その時おじいさんとおばあさんが近づいてきた。


「桃から出てきた若い人…。あなたは何者なんですか?」


「何者?そんなことわからないよ。わかるのはバイト行く途中にトラブって、桃から出てきたってこと。」


そう、桃太郎もそれしかわからないのだ。


「なるほど…。」


人の良さそうなおばあさんが口を開いた。


「これは子どもがいない我らへの贈り物に違いないですわ」


「?」


「若人や、我らの家で事情がわかるまで過ごされませんかのう…」


急な申し出に桃太郎は面食らってしまった。


ただ、よく考えてみると悪くなさそうだ。


事故ったのに、川にいるってことは相当遠くに来たってことだろう。


荷物もなくなっているし、自分の家がどの方向かもわからない。


桃太郎はおばあさんの申し出を受けることにした。


「…そう、だな。迷惑でなければ…。でも、近所の人もこんな男が急に来たらびっくりするんじゃないか。」


しわくちゃの顔のおじいさんが言った。


「それは大丈夫ですじゃ。わしには弟に息子がおってのう。」


「その甥っ子がひさしぶりに訪ねてきたと言っておこう」


「なるほど、それなら大丈夫そうだな。じゃあ、申し訳ないけど、少しばかり世話になるぜ。」


おじいさんとおばあさんはうんうん、とうなずく。


「それで若人や、あなたのお名前は…?」


「名前?」


桃太郎はふと、後ろの桃を振り返った。


ピンクに色づいた巨大な桃がまるでさっき取れたばかりみたいにピチピチしている。


幸か不幸か、彼の名前は桃太郎だ。


そのあまりに直球なネーミングによく同級生にからかわれたっけ。


そういえば、うーやんに最近会ってないけど、元気だろうか?


「俺の名前は…。」


桃太郎は力強く言った。


「俺の名前は桃太郎。」


「桃から出てきた桃太郎だ。世話になるぜ!」

おじいさんとおばあさんの家に世話になることにした桃太郎。


村の生活になじみ、ここでの暮らしも悪くないぜ、と思った矢先、あることを聞く…

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