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洋服

「メルちゃん可愛いーぃ」


「こ、こんなの、あったんですか……?」


 一着目はメイド服だった。

 しかも丈がぴったり合っていて耳と尻尾が考慮されているので子供獣人用。

 この世界じゃケモ耳女児メイドは普通だったりするのだろうか。


「うん、そーだよぉ。大きさとかはー、ボクが合わせてみたんだぁ」


 なるほど。

 流石に元からこのサイズの獣人用メイド服だったわけではないらしい。

 良かった。ケモ耳侍らせてる変な趣味のやつの私物とかじゃなくて。

 ……え、メイド服って別にご奉仕的なあれで汚いとかはないよね……? いやそもそも魔法で加工してる時点で綺麗にはしてくれてるはず。きっと。

 変な考えはよしておこう。


「回ってみてー」


「こ、こうですか?」


「んー可愛いっ」


 濃紺のワンピースに白いエプロンドレス、白いカチューシャ。ところどころにあるフリルと、胸の赤いリボンが可愛い。そんな感じのメイド服。

 それを着た俺を可愛い可愛い連呼しながら、ルリスさんはファッションショーを進めていく。

 最初に選んだ下着はそのままに、次々と渡される服を着て、適宜ポーズを取ったりなんなりする。


「んへぇ、これも可愛いっ」


「そう、ですかね……?」


 二着目は修道服。いわゆるシスターの衣装だ。

 黒いワンピースと白い前掛け、それと頭巾を頭から被り、金のロザリオを首からかけたりなんかして、なんちゃってケモ耳シスターの完成だ。

 頭巾はちゃっかりケモ耳に対応している。器用だなぁと感心。

 どこにあったんだと聞けば、亡骸から取ってきたとのことで、少し気分は悪くなったが当然構わずこの場は進む。

 見た感じ綺麗だし着心地も良かったのでまあ良しとした。

 ポージングをしてると、凹んでた天使さんも、いつの間にかこっちをじーっと見ていらっしゃる。少し恥ずかしい。


「んふふ、こっちも可愛いっ」


「えへ、へへ……」


 三着目はドレス。なんかすごい豪華でゴスロリチックなやつ。

 赤と黒がベースになったドレスで、ところどころのフリフリが可愛い。

 キラキラしてる高そうな宝石が埋め込まれてたり、頭につける大きめの髪飾りがあったりと、このまま舞踏会とか行っても違和感がないような格好だ。

 ちょっと落ち着かない。

 普段着が欲しいんだよなあ、ルリスさん。

 そんなうきうき持ってこられたら、こちらとしては着るしかないわけだけど。

 別に乗り気にはなっていない。……と思う

 その後も、残る複数の服を着終わるまで着替えは続いた。


「こ、これにしますね」


「ボクもそれも好きー。なに着ても可愛いねぇ」


 最終的に、緑色のドレスを選んだ。

 首回りとか袖口とかの白いフリルがお気に入り。

 先ほど一度着たドレスとは違って、そこまで煌びやかな感じではないのも高評価である。

 自分が知っている普段着みたいな普通のやつがなかったので、仕方なくこの服をチョイスした。

 軽く一回転してみると、ふわっと浮くスカート部分。

 ……やっぱりだいぶ好きだから普通の服があってもこっちを選んだかもしれない。


「んふ、回っちゃうくらい気に入ってくれたぁ? 嬉しー」


 洋服を調達してきてくれた彼女に感謝しつつ、不意に天使の方を見てみれば手で顔を抑えて俯いていた。

 下に血も垂れている。


「な、何かありました……!?」


「……何?」


 驚いて声をかければ、彼女は顔を上げて今まで通りの返事をする。

 鼻血だった。


「別に何もない」


「そ、そう、ですか……」


 天使のこんな姿見たくはなかった。

 もっと清楚で綺麗なイメージだったのに、人を押し倒してくるし冷たいし着替え見て鼻血出すし。

 こんなのを天使と呼んでいいもんだろうか。

 呼ぶ……あ、呼び名。名前、聞かないと。


「そういえば名前、聞いてもいいですか……?」


「先に貴方が名乗るべきでしょ?」


「もうそんなやつどうでも良くなーい? いこーよぉメルちゃん」


 相変わらずの態度を取る天使だが、ルリスさんには着替えの際に彼女を攻撃しないように言っておいたので今のところは大丈夫そうだ。

 しかしこの天使の人、ずっとこの調子だな。


「……そうですね。行きましょう、ルリスさん」


「んー、どこ行こっかー」


「……」


 どういう反応を見せるのか、興味本位でスルーしてみることにした。

 教会を後にし、村から出る。

 適当なところから入ったので知らなかったのだが、村の入り口から道が続いてるみたいだ。

 この血で塗れた村とはおさらば。ルリスさんと語を交えながら、この道を頼りに進んでいく。

 途中道が分岐したりもしたが、適当に決めて進んだ。


「ねぇ、あれずっといなーい?」


 そして件の天使さんだが、あれ以降ずっと我々の後をつけてきていた。

 こちらに話しかけてきたりはしないが、常に一定の距離を保って後ろにいる。


「あの、何か用が……?」


 なんかすごい気になるし流石に可哀想になってきたので、話しかけてみることにした。

 俺のスキルが諸悪の根源であることも忘れないでおこう。


「……シリル」


「……? ……あ、シリルさん?」


 シリルという名前らしい。

 突然名前を言われたので、少し反応が遅れてしまった。

 会話するのが好きではないのかもしれない。


「メル、です。よろしくお願いします……」


「……」


 俺も得意じゃないので、誰か彼女と上手く接する方法を教えて下さい。

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