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カンディルの反骨  作者: 面映唯
【蜉蝣】
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2

 昼食や授業間の休憩では、比較的クラスメイト達と会話をする方だった。会話は会話で面白い。最近では、どういう反応をすれば友人たちが興味を示してくれるのかわかるようになってきていた。この問いには驚いた方がいいとか、この問いかけにはネタっぽく身振りしてみたりとか、そもそものコミュニケーションの意義としてはずれているかもしれないが、それはそれで楽しかったし、自分がよければ意義なんて紙っぺらみたいなものだった。

 だけど、ふとした瞬間に気づくのだ。途端に自分の後頭部よりも後ろの方へと脳みそだけが飛んでいく。映画みたいに脳内で映ったこの教室の光景は、酷く疑問符であふれかえっていた。教室にいる人間の頭の上は当然のこと、壁に貼り付けられたプリント用紙、教室後方の黒板にチョークで書かれた三色の落書き、正面の黒板に書き残された古典の短文、それをちょうど消す係の女子生徒。そこら中にクエスチョンマークが浮かんでいた。

 言わずもがなだった。徹の頭の上にも疑問符がぷかぷかと浮かんでいる。それも三つもだ。まるで二次元で頭ぶつけて星が回ってるかの様。そう思ったら疑問符は回り出した。

 何に対しての問いだ? きっとそれは自分が一番よく知っているはずだとは思うが、言語化できず、よくわからない感情となる。

 無駄なことなのかもしれないとは思った。古典の授業を受けているときに自分が思ったことと同じことを、自分に問われている気がした。「お前のコミュニケーションこそ無駄じゃねえか。笑って誤魔化して、素直に話してどうする。お前も無駄なことを普段からしてるんだよ」そんな声が聞こえ始め、やがて疑問符は消え、脳みそは徹の後頭部の中へと吸い込まれていった。


「徹、今日帰り一人?」

「ああ一人だけど、一緒に帰る?」

 そう言うと、(あかね)は一瞬言い淀む。手入れされていることがわかる、つやつやに光を反射させる髪の毛を手ぐしでとき、「わかる?」とおどけて見せた。

「だって茜が放課後に来るときっていつもそうじゃん」

「うそ、そんな何回も誘ってたっけ?」とぼけ面も白々しい。「毎回だ毎回」と徹が言えば、「毎回ではなくない? この間はインスタに乗せたい場所があるから一緒に行こうって感じだったし、夏だったらコンビニでアイス買おうとか」

「インスタに乗せたい場所は帰り道の歩道橋だったし、夏に買ったアイスは帰り道のコンビニだったんですけど」

「あ、ばれた?」

 もろばれだっての。


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