1.溺れるほどに愛される後日談-子
本編であまりに少なかった王たちとの絡みを書いていこうと思います。濃厚に絡みますので(多分)ご注意ください。
あれから約一か月、毎日貴族教育としてびしばし來姫様に鍛えられている。
午後は交友を深めるため、必ず王複数人と過ごしている。
お茶会だったり狩り会だったりで、意外と普通に楽しい。
夜は來姫様と一緒に眠っているので、正直一番好感度が高いのは來姫様のままだけど。
意外にも王たちは、わたしが大人しくしている間は無理に手をだしてきたり、ましてや二人きりになったりしないのだ。
一度だけ、なぜか聞いてみたのだけど。
「理性がもたぬ」
と言われた(竜王陛下に)ので二度と聞かないでおこうと思ったことは内緒だ。
今日はそんな中各王と2人きりになるという恐ろしい日程が組まれた初日だ。
やだやだむりむりやだやだ!!
誰が来るのかしらないけどやだやだ!!
部屋も今日からは藤姫様が居た部屋よりも更に上の、つまりこの宮の主が住まう部屋になった。
見たこともない豪華な家具が揃えられ、大きなお風呂がある。
その隣の部屋が來姫様のお部屋だからそっちでの寝ようとおもっていたのに。
今日はどれかの王と2人きりで過ごすらしい。
今日は、というか今日から。
この準備期間のために、わたしは來姫様と必死に勉強してたそうだ。
ここを準備しているのがばれないように。
ひどい。
騙していた罪とかいって藤姫様のことは罰するのに、自分たちのことは棚に上げるのだ。
言っても仕方がないけどね!
順番だけど、多分最初は鼠王陛下だ。
子丑寅卯辰巳…の順で来ると思う。お住まいの宮も一ノ宮が鼠王陛下で二ノ宮が牛王陛下…と続くし、角が立たない順番だと思う。
「さて、そろそろ心の準備はついたかな?」
わたしが必死に現実逃避している間に、いつのまにか入室していたらしい。
甘い声が耳元で響き、びくりと肩が揺れた。
その肩をそっと抱くのは案の定鼠王陛下だ。
この部屋も以前と同じく王たちだけは好きに入れる。
(ごろつきさんにあげた髪が使われたらしい、くそう。)
相変わらずわたしのプライバシーはないのだ。
その代わり、來姫様の部屋には入れないので、逃げることは可能である。
一応。そのあたりは考えてくれたらしい。
まあ來姫様の部屋に逃げたって一時凌ぎでしかないけども。
「鼠王陛下、こんにちは」
平伏しないようにときつく約束させられたので、軽く頭を下げる程度にとどめる。
このひと月で嫌というほど言い聞かされた。
この件に関してはあまり思い出したくない。
「うん、やっとここまで来たね。長かった」
いやそんな長くなかったと思う。
まだ一か月くらいしかたってない。
「今日は雛姫に、僕の名前を捧げようと思う。2人きりのときは名前で呼んで欲しい」
「は、はい」
基本的にわたしに拒むという選択肢はない。
まあこれはわかってたことだ。どんときやがれ、です。
「では雛。」
不意に呼び捨てされ、そしてそっとわたしの手をとり口付ける鼠王陛下にどきっとしてしまう。
イケオジなんだもの!!
「僕の真名は灰。」
「灰…さま?」
「うん、もっと呼んで?」
嬉しそうにわたしのことを抱き上げると、そのまま何故か寝具へ横たえられる。
まってまってなに!?
まだお昼すぎなんですけど!?
いや時間の問題じゃないやめろはなせ。
その上から優しくのしかかられて、軽いパニックだ。
「初対面がこの体制だったの、覚えてる?」
「は、はい。驚きました」
「あの時は本当に居ても立ってもいられなくてね。怖がらせてしまったね」
するりと髪や頬を優しく撫でられて、ぞわりとする。
今も怖いので離してほしい。
どういう呪術を使っているのか、徐々に明かりが落とされて、今はほんのりと明るい程度だ。
「雛」
「灰さま…?」
「安心して、大丈夫」
優しいその言葉に詰めていた息をはふりと零す。
「でも触れさせて欲しいんだ」
至近距離で懇願するようにイケオジに見詰められて、ひゅっと再び息が詰まる。
「雛はきっとどうして僕たちがきみに執着するのかわからないだろうね。」
その言葉にわたしはこくりと頷く。
「だから、それをわかってもらうのがこれからの僕たちの時間だよ」
優しい口づけが頬に落とされる。
「身を委ねて、僕たちの愛を受け取ってほしい」
耳をぱくりと食まれる。
手は絶え間なく体のどこかを撫で、口は甘い言葉を囁いては口づけを降らせる。
前戯のような甘い行為に、頭が沸騰してしまいそう。
「僕は君と魂でつながっているような、そういう感覚だよ」
体を撫でまわしていた手が不意に胸元を掠った時、わたしのキャパシティは限界だったらしく。
「わあああああん」
気づけばわたしは"腕力"を発揮して灰さまを突き飛ばしていた。
「ああ、やっぱりまだ早かったか」
とか苦笑しているけれどわたしはそれどころではない。
やばい。
玉体を突き飛ばしてしまった。
「け、けがは、」
「ないない。大丈夫だよ」
慌ててその場にひれ伏し謝罪の姿勢を取ると。
「ああ、だめだよ雛。その姿勢は、なんだったっけ?」
途端に意地悪そうな声になりわたしは別の意味で体を震わせる。
やっちゃった!!
そう。あまりにナチュラルに平伏するものだから、わたしはひとつ約束をしたのだ。
平伏1回につき口への接吻1回と。
その約束をしてからは一度もやっていなかったのに!!
わたしのばか!!!
嬉しそうな笑顔の灰さまが、わたしのことをそっと膝に乗せる。
あれだ、対面座位みたいな姿勢で。
無理無理少し離れて!!
と体を引こうとしてもちょっとも動かない。
力つよ。
いやわたしが非力なのか。
また"腕力"を使えば逃げられるだろうけど、約束を破ったのはわたしのほうだ。
「はい。これでできるね?」
と、もう触れそうなぎりぎりまで顔を近づけられる。
息がかかるほど近くで長時間いるほうが無理なので、えいや!っと口をくっつけて速やかに離れようとしたのに。
「んうっ」
頭を押さえつけられ、逃げられない。
幸いにも舌は入ってこなかった。
けど長い!!
わたしがはふはふと酸欠気味に息をすると、それはもういい笑顔で笑いかけられた。
「これ以上はほんとうに理性が飛びそうだ」
とか聞きたくなかった!!!
そのあとは本当にお話しをして、翌朝平和にお別れしたのだった。
ねえこんなの毎日するの!?
死んじゃう!!
こんな感じでべたべたしてゆきますのでよろしくお願いします。
毛色は違いますがよかったらこちらもお願いします。完結済みです。
『光の勇者は竜の姫と月の騎士に執着される』
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