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28.神の力

「あらあ、本当に早起きなのねえ」

「あ、おはようございます。來姫様!」

「侍女みたいな挨拶お止めなさいなあ」

ぺち、と軽く扇ではたかれる。優しい。



寝起きの來姫様の御色気が凄まじい。ふわーおって感じ。



「さて、まず改めてだけれど貴女の教育係をわたくしが承ったわあ」

「よろしくお願いします」

來姫様にそう言われてはさぼれない。

嫌だけど仕方ない。嫌だけど。

本当わたしは何でモチベーション保てばいいんだ!


來姫様がぱふぱふしてくれるなら頑張るけど!


「でもその前にい、貴女を()()()12の姫たちに仕返しをするわあ」

「…はい?」

「わたくし納得してないのよお。貴女一人が12の王の寵愛を受けるなんてえ。いくら神の末裔の血が、とか聞いてもねえ」

ぱちりと美しくウインクされて、恋しそうだ。


え、お美しい、むり。語彙力死ぬ。


「その権利を陛下方全員から頂いたわあ」

うふふと不適に微笑む來姫様が恰好良すぎる。



「わたくし貴女の御父上に、きっとこうなるって言われていたのよお」

え?と首を傾げると。

來姫様は昔話をしてくれた。



――その昔、お父様がまだ子供だった頃。


お父様のおばあ様と一緒に旅行として竜族領を訪れた。

お父様のおばあ様…わたしのひいおばあ様の妹の娘が來姫様だという。

おばあ様の姪っ子…お父様の…何になるかな。いとこ?誰か教えて。


その來姫様の命を救ったのがお父様らしい。

何やら明日の外出は控えよ、とかいう怪しい言葉で。


翌日來姫様の向かう予定だった避暑地で地面が突如陥没し、たくさんの竜族が亡くなった災害があったらしい。

「命の恩人なのよお、貴女の御父上は」


そのお礼に何が欲しいと聞かれたお父様は、将来自分に娘が生まれたときに託す人が欲しい。

それは來姫様がいい、と言ったそうだ。



「あのね、わたくしの家では知っていたのよお。貴女の血筋が神の末裔だってこと」

「…え、と…」

わたし聞いてなかったけど!

「あらあ、まだ聞いていないのお?貴女にも神の力があるのよお。貴女の御父上は"未来視"だそうよお」



そこで(むすめ)が生まれることを知り、來姫様に(わたし)を託すことにしたらしい。

「だから、貴女のことは大切にしたかったのよお。ただ、あんまり力のない家で…藤姫様には対応できなかったわあ」

しゅん、と眉を下げる來姫様がかわいい。


「敵しかいないと思っていたここで、唯一優しかったのが來姫様です。感謝していますよ。それに、わたしには何も教えてくれなかったお父様が悪いです!」

「そう言わないであげて?貴女のお兄様が貴女に伝えるのを反対したそうよお?」

「兄様が?」

返答次第によっては兄様をなんとしてでも殴るけどなんで?


「貴女のお兄様は、"分岐"を視る力があるそうよお。そこで、不用意に分岐を増やすことをためらったのねえ。」

お父様が見た未来の分岐点をお兄様が見て、その分岐でどの未来にたどり着くかわかる…らしい。

2人で見るとかなり確実な未来が見れそうだ。

乙女ゲームなら攻略サイトだよね。

神の末裔なのは知っていたんだけど、そんな力があるのは知らなかったな。



「それで、唯一貴女が生き残る道が、ここへ来ることだったそうよお?」

他の道だと死んでたのか。つくづく可哀想なヒロインだ。

死ぬよりも12の王に共有されるほうがましだっていうことかな。


「ただ、貴女も血筋だから正確に視ることは難しかったそうよお」

ここに来た後の未来は見えなかったらしい。

うん、そうだろうね、前世のこと思い出しちゃったし。


「そうなんですか」

「そして、貴女の力を告げるように頼まれたわあ」

何もないと思っていたわたしにも何かあるらしい。


ちょっとわくわくして聞くと、「それが、"転生"だそうよお」

いらねえ!!



え、つまりどういうこと?

わたしこそが最初の"かみさま"の魂を持ってるってこと?

それとも前世日本人のこと指してる?


「だから、たとえ貴女以外の神の末裔の人が来てもきっと花嫁には選ばれなかったわあ。」

もちろん慕われはしたでしょうけど、と続けている。

これは"かみさま"のほうかな。

いやもうどっちでもいいや。



事実は覆らないのだ。




「本来ならあ、わたくし貴女にこのような口を利くわけにはいかないのだけどお」

「いいですいいです。平民には違いないので」

「って言うのはわかってるわあ。本当控えめよねえ」

よしよしと撫でまわされるのが嫌ではないのはきっと來姫様だからだ。



それを存分に味わったあと、当初の話を思い出す。

「ええと、で、來姫様は仕返しがしたいんですね?」

「ええ。そうよお。全員地獄に叩き落してやるわあ」

意外と好戦的だな、來姫様。わたしそこまでは思ってないんだけど。


「けどどうやるんです?」


「なんのために陛下方にお力添え頂いたと思ってるのよお。貴女にしたことぜーんぶバラして差し上げたらあ、貴女を蔑ろにした姫たちには制裁を、なんて言ってるわよお?」

「いや蔑ろにされましたっけ?」

嵌められたけど蔑ろにはされてない気がする。

多分、意地悪とかはされてないし?

全部強引だったけど。


「貴女を放り出して逃がした桃姫様なんて処刑が決まってるのよお?ほかにも夜中に誘拐したり結構な手を使われたじゃない?陛下方の愛情の大きさを見誤らないほうがいいわあ」

いや処刑て!!


わたしを嵌めたのって陛下方も一緒じゃないのかなあと聞けば、

「陛下方はいいのよお。けど、彼女たちは不敬でしょお?」

という謎の理論をかまされたので仕方ないよね。

いやまあ相手は王族だしある程度自由が利くのもわかるけど。

でもせめて。


「処刑はやめて欲しいんですけども…」

「あらあ、神の一族を蔑ろにしたのだから一族全て処刑されてもおかしくないのよお?」

それを一人で済んだんだからよかったねとは言えない。


「優しい子ねえ。…ではこうしましょうねえ」

その案は、確かに優しいけれど残酷で。

これ以上は譲らないという來姫様にわたしは折れたのだった。









毛色は違いますがよかったらこちらもお願いします。完結済みです。

『光の勇者は竜の姫と月の騎士に執着(あい)される』

https://ncode.syosetu.com/n6804fq/

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