異世界転移しました
「本当に申し訳ありませんでした!」
「分かりました、分かりましたから顔をあげて下さい」
かれこれ1時間以上、手違いで転移させてしまったことを女神様に謝られているのだが、何というか、ここまで神様に謝られると怒る気も失せてしまった。
「何で間違えてしまったんですか」
「少し手が滑ってしまいまして」
意味が分からない。
「はあ、まあ仕方ないです。それで、俺はこれからどうすればいいでしょうか」
「申し訳ありませんが、こちらの世界に住んでいただくことになります」
まあそうなるよなー。
「しかし!特別に一つレアな魔法を授けましょう!」
「おおー、女神様っぽい」
「でしょう?」
「で、どんな魔法をくれるんですか?」
「抽選で決めるのでまだ分かりません。授ける魔法は今から、ここにあるガラガラで決めます」
「なんか安っぽいですね」
「細かいことはいいんです!さあ、回して下さい!」
ゆっくりと数回転させ、ガラガラと音を立てて出てきたのは黒い玉だった。玉は魔法となって体に入ってきた。地味な玉だったので残念ながらハズレだろうかと思ったのだが、どうも女神様の様子が変だ。
「そ、それは禁忌の魔法とされた精神魔法!」
「何でそんな物騒なものがガラガラの中に入ってるんですか!」
「あなたにはどうでもいいことです、所有者には死んでもらうことになっているのですから」
「は?え、な、なんでですか」
「精神魔法というのは、倫理的な問題から存在してはいけない魔法とされているのです。申し訳ありませんが、それも私の役目の一つなのです」
そういうと右手に剣を創り出し、こちらに振りかざしてきた。
(無理だ、避けれない、死ぬのか)
と思ったが俺は咄嗟に、
「あ、UFOだ!」と、指をさしながら叫んだ。
「え、ど、どこにいるんですかっ?」
剣が首にあたる寸前、女神様が止まった。助かった俺は手を伸ばし、女神様に触れた。何故手を伸ばしたのかは分からないが、勝手に手が動いたのだ。
触れた瞬間、精神魔法が、発動した。