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転移

作者が初心に帰り猪突猛進で書き進む小説。壁にぶつかったら停止する

 僕の名前は大井(おおい)賢治(けんじ)。どこにでもいる男子高校生。これは、僕が異世界に転移して大賢者になっていろいろする話。



――――――



 僕が転移する前の話は興味が無い人が多いと思うから省略する。


 登校中僕は突然不思議な光に包まれて、気づいたらここ、ファンタジー世界の王城の玉座の間みたいな場所にいたんだ。玉座にはいかにも王様って感じのおじさんが座ってて、その隣には10歳ぐらいの女の子がいて、広い部屋のすみには西洋甲冑を着た騎士みたいな人達が10人並んで立っている。



「ここはどこだ!」



 隣にいた、THEイケメンって感じの制服を着た男子が叫んでる。



「勇者が二人、だと?」



 王様みたいなおじさんと騎士達が戸惑ってる。そこで僕は冷静に考えてみた。


 ここはどこだろうと考えたけど、僕の結論はここは異世界だ。Web小説で読んだから間違いない。それに、勇者が二人って言ってたから僕は巻き込まれ召喚だね!これはチート確定だ!



「うぉっほん、異世界よりの勇者よ。歓迎しよう。余はこの世界最後の国の王、ローラスト・エンディアだ」



 最後とラストとエンドの三段構えだね!世界最後の国って言ってたから、きっとこの国は魔王になんで勝てねぇんだよって言うような戦力は無いんだろうね!むしろ滅亡の危機だよ!



「勇者?なに言ってるんだよ。家に帰せよ!」



 イケメンが今にもローラスト様に飛びかかりそうだったから、手で制した。



「ローラスト様、この世界は魔王のせいで滅亡の危機に瀕しているという認識であってますか?」


「うむ、そうであるが」


「では、僕達は世界を救うための勇者として喚ばれたという認識であってますか?」


「そ、そうだが」


「では、僕達には特殊な力があると考えていいですね?」



 連続で質問したからか、イケメンと王様が若干引いてます。けど、僕は引きません!



「う、うむ。余の魔眼によると、お主は完全記憶、そちらの男は剣神のスキルを持っておる。どちらも珍しいスキルである。しかし、そちらの男のステータスは高いのだが、お主のステータスは標準だ」



 ふむ、僕には完全記憶というスキルがあるらしい。完全記憶というスキルが名前の通りのスキルなら、妄想リスト126番のあれができるかな。



「では、僕を書庫に案内してください。できれば魔導書の類いもある書庫で。僕はこれからそこで寝泊まりします」


「……なるほど。お主のやりたいことはよくわかった。許可しよう。フィーネ、案内してやれ。親衛隊序列6位以下は第一書庫に彼が寝泊まりできる環境を整えよ」


「わかりましたお父様」



 ローラスト様の隣にいた女の子が僕の前まで歩いてきた。この子は王女様でフィーネちゃんって言うんだね!ちなみにフィーネっていうのはイタリア語で終わりって意味だよ。この国、名前から終わってるね!



「はじめまして。フィーネと申します」


「僕はケンジ。フィーネちゃんって呼んでいいかな」


「あら、誰彼構わず初対面の女の子にちゃんとつけるのですか?」


「ちゃんってつけないとなんか落ち着かなくて」


「ふふ、構わないですよ。では、行きましょうか」


「うん。ありがとね、フィーネちゃん」



 フィーネちゃんは口調がとっても大人びてるね! もしかしたら見た目よりずっと歳が上なのかも。でも、見た目が10歳の女の子ならやっぱりちゃんってつけたくなるよね。



「ち、ちょっと待て!お前はなんでそんなに冷静でいられるんだ!」



 イケメンが聞いてきた。冷静って言っても、理由は1つしかないよ。



「脳で何度もシミュレーションしたからね。じゃ、頑張って。ご飯ぐらいは一緒に食べようよ」



 僕はフィーネちゃんの後ろについて玉座の間を出た。イケメンはぽっかり口を開けて僕を見ていたね。



――――――



「ケンジ様はとても聡明なのですね」



 長い廊下を歩いたりいくつか階段を登ったり降りたりしてると、フィーネちゃんが話しかけてきた。



「様づけはしなくていいよ。それに、わざわざ敬語じゃなくても」


「では、ケンジさんで。敬語はもともとの性ですので」


「それなら仕方ないっか。それで、僕が聡明だって言う話だっけ。そうでもないよ。ただ記憶力とイメージ力がいいだけだし」


「それが聡明だというのです」


「そうかなあ」


「ふふっ、不思議な人ですね」



 フィーネちゃんが嬉しそうだと、僕も自然と嬉しくなるね。これが庇護欲かな?違うか。じゃあなんだろう。



「つきましたよ。ここが第一書庫です」



 フィーネちゃんが大きな扉に手を触れて言った。これが第一書庫みたいだね。


 フィーネちゃんが手を離すと、扉が自動で二つに割れて内開きに開いた。中には天井まで10メートルもありそうな大きく広い部屋に、中央のスペースを空けて半円を描くような形に本棚が並べられていた。それも何重も重ねて。これだけで本が数億冊はありそうだ。


 中央のスペースにはキングサイズのベッド、ソファーに長テーブルが置かれてる。本を読むには申し分ない環境だ!



「ありがとうフィーネちゃん。じゃあ、僕はこれからこの書庫の本を全部読むよ」


「えっ……大丈夫ですか?」



フィーネちゃんが背伸びして僕のおでこに手を当ててきた。フィーネちゃんの小さな手が暖かいね。



「大丈夫だよ。何日も掛かるだろうけど、僕には完全記憶がある。速読すれば読みきれるさ」


「その、頑張ってください。食事の時にまた呼びに来ますので」


「うん。心配してくれてありがとうね。それじゃあ」



 僕が書庫に入ると、扉が自動で閉じていく。扉が閉まりきる前に、フィーネちゃんはお辞儀をしてくれた。



「さて、それじゃあ読むか!」



 僕は、適当な本を取って読み始めた。

大賢者の記憶


《エンディア王国》

それは、今から100年前生まれた国家。絶対王政であるが、国民からの信頼は厚い。

初代国王はウルティモ・エンディア。かつての隣国であるメッザノッテ聖国の皇子(こうし)(教皇の子)であり、父の考え方に抗い2人の仲間と建国したのがエンディア王国である。


『世界最後の国 著:ネストーレ』より抜粋

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