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陣取り合戦  作者: 流れ雲
1/2

プロローグ

その日俺はこの世界に来た。


「なんだよこれ...俺は確かに...」



無秩序で残忍な、この世界ストロリアに...


ーーーーーーー


「本日未明、22歳会社員が交通事故にあいました。警察は過失致死事件として34歳ーー」


「うわぁ、かぁいそうだねぇ。同い年だよ」


他人事の様な口調で彼女は喋る。

いや、他人事か...


「カズも事故には気をつけなよ?」


「ああ、俺が事故る訳ないだろ。てかミクの方がそそっかしいんだから、普段から気をつけろよ。」


「そそっかしくないもん!」

プクーっと頬を膨らます幼馴染。



俺、見境ミサカイ 嘉一ヨシカズは幼馴染の皆上ミナカミ 美来ミクと俺の部屋でテレビを見て喋っていた。


ミクとは小学生からの仲だ。


東京都に引っ越してきて、ミクの親とウチの親がまず最初に仲良くなり、

ミクとはクラスもずっと同じで、苗字の関係で俺の後ろがミクだった為にずっと一緒にいた。

家族同然の付き合いだ。

家族同士で旅行に行ったりするほど仲が良い。

ただ恋愛には発展せず、妹みたいな存在になっている。


ちなみにミクは贔屓目無しにしても相当かわいい。

ショートカットで活発的な印象を受ける

見た目に違わず、いわゆるスポーツ系女子で、バスケの選抜だかなんだかに選ばれるほどだ。

バスケのノースリーブ姿を見る為に来る男子も大勢いるんだとか。


しかも話してみると天然で柔らかい雰囲気が更に人気を増長しているのだろう。


俺は特にこれといった特徴は無い。

勉強も上の下、スポーツは大体出来るが、一つの物事をやり遂げた事は無い。

見た目も黒髪で特に洒落っ気は無い。

180/68というヒョロ型で筋肉も無いわけじゃ無いけどまぁ普通。

部屋も無駄な物はなく、テレビとベッドにPCと小さいテーブルのみである。

現在はミクのお菓子でテーブルの上は占領されているが...

ちなみにこの前仕事に飽きて辞めてからは何もせず、現在はニートである。

まぁ基本的に飽き性、面倒くさがりである。


あー...ストリートファイト《喧嘩》だけは得意だ。

理由としてはミクだ。

誰にでも分け隔て無く、軽いボディタッチなどしてしまうため、勘違い男子が告白し、撃沈。

その後よく一緒にいる俺に恨みが回ってくるのだ。

10回や20回では済まない量の喧嘩はこなしてきた。



思えば昔から親や教師には「やればできるんだからやれ」と言われ続けてきた。

昔から周りに期待されて、勝手に失望して。

本当勝手だよな。

でもミクはそんな俺をありのままで受け止めてくれてる。

だから一緒にいて居心地が良いのだろう。


「ねーカズー」

「ん?」

「カズはいつ就職すんのー?」


はぁ...またその話題か


「ぃんだよ俺は、やりたいこと見つかったらそれやるからさ」

「でもおばさんも心配してるし取り敢えず何かやってみたら??」

「っ!お袋は関係無いだろ!!」


ビクッとしてシュンとしてしまう。

...言いすぎたか


「ごめん強く言いすぎよ。でも周り人がこうだからとか言われるの好きじゃ無いんだよ。」


「わかってるけど...心配なんだもん...」

涙目になっている。

これはマズイ

「もう帰るね。またね。」

別れの言葉を告げるとミクはすごいスピードで出てってしまう。


またこのパターンか...


以前も喧嘩をして、そのまま放置したら3週間一言も話さず、すれ違ってもスルーされるという結果になった。

やはりこれはマズイ。


うーむ...追いかけるか。


急いで上着を羽織り外に出る。

冬の寒さが肌を突くが、そんなことを気にしている暇もなくミクの家の方に走る。


すると100mほど走ったところで壁に向かってしゃがんでいるミクを見つけた。


「おいミク。」


涙でくしゃくしゃになった顔を上げる

「ごめっ...だって心配で...うっ...ひっく」


「わかってるよ。怒ってごめん。ミクは妹みたいな存在だからつい本音が出ちゃうんだよ。」

出来るだけ優しく、諭すように喋る


「妹...うん...そうだよね。わかったよ」

ミクは俯いたまま返事をする



「まだ時間あるんだろ?ならうちでゆっくりしようぜ」


「....」

「ミク?」


ミクはゆっくり顔を上げると目に力が入っていた。

これはあれだ、バスケの試合で超接戦してる時、負けられ無い試合の時に見せる眼だ。


「あたしっ...ずっとカズのことっ...」


その先は予想できた。

しかしミクは妹のように見てきたし、どうすれば良いのか...

お互いそれ以上喋れずにいた。

沈黙を破ったのはミクの方だった。

「あ、あたしね、カズのこと好ーーーー」


プーー!!!!!!


そして俺は死んだ。

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