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黒の子ユート  作者: 榎谷美湖
幼少期
1/5

001 始まり

始まりました

※作者はかなりの気まぐれです


シルビア王国、その田舎にある町にこれまたはずれにある村で双子の兄妹が生まれた

兄、ユートは漆黒の髪に黄金の瞳、周りは悪魔の子と呼んだ

妹、ユーナは純白の髪に琥珀の瞳、周りは神の使いと呼んだ

悪魔の子は忌子、神の使いは愛されし子

扱いは天と地の差だった

親も一緒になって村人達はユートを殺そうとした・・・が


「ちょっと待つんじゃ!そいつを殺してはいかん!」

「何故だ!こいつは悪魔だぞ!」

「そいつはな〜!


村長曰く、魔王の子を10歳以内に殺すと祟りが起きる、との逸話があり

村人は渋々ユートを3歳まで家で育て、その後は村はずれの小屋に軟禁する事にした

育てると言っても、最低限の食事と一応寝る場所(物置の古布団の上)の用意だけ

そんな中でまともな子供に育つはずが無い

しかしユートは賢い子供に育った、2歳の子供にしては早く喋り、早く歩き、早く走る

それにより予定よりも早く小屋に隔離される事に

小屋にいる間は1週間の初めに一週間はもつ量の保存食と水を限りなくギリギリ、最低限の量で村人が持ってくる

普通なら餓死はしないが飢える量だ

しかしユートは普通では無かった


「ふう・・・やっと自由だ」


彼にはユートである以前に『悠斗』であった過去があった

こことは異なる世界で普通だけどちょっと冷めた青年として生きていた

数は少ないが友人だっていたし両親とも仲が良かった

そんな優斗がここに『ユート』として生きているのは向こうで死んでしまったからだ

通り魔から妊婦を守り刺され、力を振り絞り一発で相手を気絶させて自分も意識を失う


その後は気づけばこの世界でユートとして暮らしていたのだ



ーーユートside


目を覚ますと自分の体が小さかった

驚いたが確かに今までユートとして生きた記憶もあったから何とか受け入れる事が出来たから良い

自分が死んだというのはすぐ解った

背中から心臓付近に一突きで、生きてる方が奇跡だったはずだ

遊ぼうと待ち合わせをしていた彼奴はどうしてるだろうか、とか

両親に親孝行したかった、とか色々未練はある

本当だったらもう一度あの世界に行ってさよなら位言いたい気持ちもある

けどそれは到底無理な話

それに今は未練よりも重大な問題が残っている


自分が忌子だという事だ


ここが地球とは違う世界だというのは村人の髪の色や目の色から何となく分かっている

行商人が変わった道具を持ってるのも見た

家にあった本を盗み見して得た知識からするとあれは魔道具と呼ばれる者らしい

この世界には魔法があるという事も本でしった

字は見た感じ完璧日本語

別に転生したから日本語に見えてるんでも無く、本当に日本語らしい

村人が喋っているのも訛りがあるが確かに日本語だった

字が日本語なら好都合だ、こっちは知識を得るのは全て独学ではないとならない

全ては俺が忌子と忌み嫌われる存在であることが原因

だけど別に絶望も諦めもしていない


俺は生きるんだ、せっかく二度目の人生、困難など全部乗り越えてくれる


○○○


「〜〜♪」


今俺は釣りをしている

釣り針は小屋にあった釣り針に使われていたんであろう針を加工した

加工方法?


『どうです?釣れそうですか?』

『つれたら俺が焼いてやるからな!』

「もう少しかかりそうだぞシズク、ありがとうなショウ」

『一気にビリッって行こうよ〜』

「ライト・・・それは魚が全滅しちゃうから駄目」

『ちぇ〜(-З-)』


俺の周りをふよふよ飛んでいる精霊のおかげだ


魔力を餌とする精霊に魔力を渡し

その対価として精霊に力を使ってもらうのがこの世界の魔法の原理だと言う話だ

精霊は魔力で人間を選ぶ、美味しいとか好みもあるらしい

もちろん魔力が無い人もいるから魔法を使えない人もいる


精霊は基本フラフラしていて、自我も無い

けれど生まれてから長いと自我がある精霊も生まれるようだ

そんな精霊と契約で専属にする人もいるらしいが、あまり“こういう人がなる”とかは無く

その人の人格自体はあまり関係無く、あくまで餌をくれる人、精霊にとって人間とはそれ以上でも以下でも無いらしい


まぁ俺に着いて来ている精霊達は例外なんだが・・・


『ユーリ、どうだ?釣り針の使い道は』

「最高だよ、今は3匹目に挑戦中だ」

『そりゃあ良かった、主に気に入ってもらえるのは鍛冶精霊として鼻が高いってもんよ!』

「ああ、これからも頼むよ、レン」

『おうよ!』


精霊にはそれぞれ属性と種類がある

火・水・風・雷・土・草・闇・光が主属性精霊

鍛冶・空間が副属性精霊

普通は大体1〜3種類らしいんだが・・・何故か俺の周りには全種類いたりする


実は小屋に隔離されて二日目に精霊を呼んでみようと魔力を放出したんだが・・・気づけば全種類集まってしまったんだ

俺は悪魔の子って言われてるはずなのに光とも契約が出来た、悪魔って光苦手なイメージなんだがな

ちなみにユーナは光と水の二種類だすだ、天使っぽいな


「よし釣れた、今日はこのへんにしようか」

『よっしゃ!俺の出番だな!良い感じの焼き具合にしてやるぜ!

俺の魔法調節は神業だからな!(ドヤァ』

『貴方の魔法が神業ですって?馬鹿を言わないでくださいな』

『な〜に〜?!言ってくれるじゃねぇか…』

「喧嘩すんなよ・・・?」

『はい・・・/お、おう』


普通の精霊は気分屋で基本契約者でも魔力をあげない限りは言う事を聞かない

だけど何故か皆俺に忠誠を誓ってる

俺的には主従よりも家族の方が良いんだが・・・

初めて会ってから少しして何故だと聞いたが、

ただ俺の事が好きだから、だと

契約時に俺の本質に触れて気に入った、らしい

良いのかそれで、確かに契約したからもう解約なんかしないけど


「やっぱり魚は上手いな」

『だな!』

「なんで皆精霊なのに普通のご飯食べるんだ?」

『ふむ、ユートは家族が欲しいのだろう?』

「ソラ・・・確かに俺は家族が欲しいな、たぶん寂しい、のだと・・・思う」

『だからじゃよ、私達はお前と家族になろうと決めたのだ

家族とは一緒に食卓を囲む物、そうだと私は聞いている

勿論魔力だけでも良いし、嫌なら止めるが・・・?』

「・・・いや、嬉しいよ、ありがとう

シズク、ショウ、ライト、フウ、ダイチ、メイ、グラ、ソウ、ソラ、レン

これからも末永くよろしく頼む」


心が温まる日だった


○○○


俺は今森の中をグラの力で気配を消しながら歩いている

目的は肉

まだ小屋に住むようになって数週間だが魚には飽きてきた

野菜は村から盗んだ野菜から種を取って、作ってた畑で栽培中

まだ、芽は出てないけど肥料とか前世の知識で作って撒いてるから大丈夫だろ・・・多分


野菜はそれで良い、しかし肉は狩らないといけない

今の俺はまだ2歳の子供だ

大人ほど速く走れないし、高い所には登れない

精霊を介さない魔法(無属性魔法)で身体能力をあげてもやはり子供

魔力は人間の中でもトップクラスらしい意味が無い

これからは体も“適度に”鍛えよう、小さなうちに鍛えすぎると身長が伸びないそうだし・・・チビは勘弁


けれど今は肉が欲しい、肉肉肉肉肉肉肉肉


幸い俺には精霊達がいる、最近ちょっと人間のご飯に目覚めてきた皆は肉も食べてみたいらしい

レンには俺でも持てる軽いナイフを作って貰った

レンに盗んできた布で作って貰ったショルダーバックを着ける

この中はソラの空間魔法でアイテムボックスになっているんだ

まだまだソラと俺の力が足りずあまり多くは入らないが今のところは十分な量が入るので問題無い


「いた・・・」


森を歩き続け数分、見つけたのは兎・・・モドキ

地球にいた可愛らしい兎とは違い、大きいし角がある

精霊達に聞いたが、皆は俺の魔力を食べて初めて自我が出来たらしいから知らないそうだ

普通、精霊の自我なんて長く生きてる精霊だけ

だが何故か俺の魔力を食べた瞬間に自我が出来たらしい

しかも結構個性的、ここまで個性的で自我がはっきりしてる精霊も珍しい


『どうするの~?』

「まずは自分の力を試すよ」


フウがのんびり聞いてきたけど俺は断り、魔力強化を足に施す

息を殺し、近づく


「フッ!」

ギャウン!


飛びかかって脳天にナイフを刺す、そのままナイフを動かし抜き取る

兎モドキは倒れ、確認したら死んでいた、無事仕留める事に成功したみたいだ

血抜きをして鞄には入らなかったから引きずりながら帰る、

角は何かに使えそうだったからナイフに魔力を通して切り取ってから鞄に収納済み

こういうのって売れるかもしれないし


「じゃあ調理しようか」


肉をレンが作ったフライパンに乗せる

フライパンやナイフの材料は普通に鉄だけど、元は砂鉄だった

それをライトの力で集めてショウとダイチによって鉄の塊に

それをレンが形を変えてフライパンの完成

ちゃんと手入れしてるから錆びる心配は無い、錆びたとしてもレンの前では無意味だ


『美味』

「それは良かった」


この世界には醤油も味噌もある・・・らしい、ただここは村はずれの森

手に入れるにはどこかの町にいかないとな


こんかいの肉の調理法は、焼く時に塩をちょっとかけただけ、それでも久しぶりの肉は美味しかった

けれどいつかは飽きそうだからな・・・

今は村から盗んできた塩しか使えないが、いつかは町に行って調味料を買おう

ちなみに今隣グラが美味しそうにむしゃむしゃ食べている(無表情)

グラは今回の立役者だからな、闇の力で隠密してたからこそ探す事ができたし

こんなに便利な魔法なのにどうして大人は嫌がるんだろうか?

まぁ、俺は自分が忌子だろうがどうでも良いし、気にしない

平和に静かな場所で暮らせたらそれでいい

今も静かだけど、ちょっと違う、もっと快適な生活を俺は求む!


地球での暮らし程は望まない、科学なんて無いし


サバイバルで野宿生活は嫌だな、せめて、せめて布団が欲しい!


ユートの力は全く悪い方には傾いていません

本当に髪の色だけで忌子判定されました

(この世界では白黒は滅多に生まれません)


シズク(水)

ショウ(火)

ライト(雷)

フウ(風)

ダイチ(地)

メイ(光)

グラ(闇)

ソウ(植物)

ソラ(空間)

レン(鍛冶)

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