オモイ
「店閉めたら 合鍵 太樹頼むわ」
そう言い残して 店を飛び出した
そして僕は ただ夢中で走っていた
まだ帰らないで 居てくれ そう願いながら
ただ ひたすら走ったのでした
待ち合わせは走って五分程の場所だった
近いのはいいが 約束の時間が過ぎてるって
どうなのよって感じがするんだが!
もう少し早く言ってくれ! そう思った
そしてオフィス街を抜けて 待ち合わせ場所に
辿り着いた
そこには 外灯にもたれかかった 白木さんの
姿があった よかったまだ帰ってなかった
息を切らしながら 近づく僕に気付くと 一瞬
驚いた顔をしたが 何故僕が来たのか 直ぐに
悟った様子だった
「こ 今晩は」僕が言うと
「今晩は」気不味そうに 俯いて答えた
そして顔を上げると 意を決した様に言った
「私は体が弱くて 病気持ちだから・・・」
そう言いかけた白木さんを 思わず抱きしめた
「あの」僕の胸の中で白木さんが呟いていた
「体が弱いとか病気持ちとか それを知った上
で 白木さんが好きなんです」
僕の胸の中で白木さんは 黙っていた
「でもその想いが 白木さんの負担になるなら
答えなくていいです 以前の様にお店に来て
下さい 美味しい紅茶を淹れますから」
すると ボロボロ涙を零しながら言った
「有難う 有難う 本当に有難う」
その涙に僕は驚き 慌ててオロオロしながら
「あ いや 大した事は何も言ってないです」
すると涙を拭いながら 白木さんが言った
「東條さんと出会えて本当によかったです」
「俺も・・・です・・・」
そう言って僕は 俯いたのでした




