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家庭科の調理実習を頑張る

作者: WAIai
掲載日:2026/07/17

今日は家庭科の調理実習の日だった。


私は花柄のエプロンを身につけており、うさぎが花畑にいるような、そんなぽわんとした感じだった。


彼とは班が分かれてしまい、淋しかったが、とにかくデカいので目立つ。


つい彼を目で追ってしまい、花束でも渡そうかと馬鹿な妄想をする。


「はい、皆さん、いいですか?」


眼鏡をかけた家庭科の先生が声を出しながら、手を叩く。

ぽっちゃりした先生で、歳は40代くらい。

カバみたいな先生だって、彼が言っていたっけと思い出す。


「今日は特別に料理人の先生がいます」


先生の隣には30代くらいの男性がおり、見たことのある人だなと感想をもつ。


「料理人の先生です。よろしくお願いしますと言いましょう」


カバの先生の声に、男性を何と表せばいいのかと、彼を見ると、口パクで「亀」と言ってきた。


「亀?」


口パクで返すと、確かに細長い顔はそう見えてきた。


「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


互いに挨拶をすると、調理が始まる。


今日のメニューは、ブリの照り焼きに、炊き込みご飯と、私の好きな和食だった。


私は早速、家から持ってきたお米を取り出すと、班の皆に言う。


「私が洗ってもいい?」


うさぎがジャンプするように、わくわくしていると、班の皆が「いいよ」と言ってくる。


彼の班には亀の先生がついたようで、私の班にはカバの先生が様子を見てくれる。


「はい。では皆さん、手を止めずに」


大声を出すと、本当にカバみたいな大きな口で、心の中でくすりと笑う。

馬鹿にした笑いではなく、彼のニックネームのつけ方が上手なんだと褒める。


視線を感じ、見れば彼と目が合い、私は手を振る。


口パクで「ファイト」と言うと、彼は嬉しそうにはにかんでくる。


花輪したライオンみたいに、上機嫌だなと思い、料理に集中する。


「先に炊き込みご飯だよね」


洗った米を釜の中に入れ、水を量る。


その隙に、具材を切るのだが、カバの先生が言ってくる。


「鶏肉を切る時は気をつけて。包丁が滑るかもしれないから」


私はうなずくと、班の皆と鶏肉に取りかかる。


「大きく切っては駄目よ。一口大に切るの」


カバの先生のアドバイスに、私は包丁を操る。

自慢ではないが、家でも料理しているので、慣れた手つきだった。


綺麗に切り終わり、後は皆に任せると、

「はい! 先生」

と手を挙げる。


彼がチラリと見てきたがのが分かったが、先生が来たので、せっかくだけれども、流してしまう。


「ブリに取りかかりたいんですけど」

「はいはい。順調のようですね」


カバの先生に褒められて、私はうさぎが人参を貰ったかのように、嬉しくてぴょんと跳ねる。


彼の班は亀の先生がつきっきりのようで、会話が聞こえてくるのだが、カバの先生が真ん中に立ってくる。


「ブリはまず塩をふらないと」

「塩? なるほど」


家でも母親がそうしていたなと思い、聞いてみる。


「どうして塩をするんですか?」

「臭み消しと下味をつける意味でふるのよ。よく覚えておくように」


カバの先生が人差し指を立てたので、私はしっかりうなずく。


「炊き込みご飯、セットしたからね」


班の子に言われ、私はわあっと表情を緩める。

出来上がりが楽しみだった。


「で、今、何をしているの?」


班の子に聞かれ、

「ブリに塩をふって時間を待っているの」


カバの先生はその通りとばかりに、機嫌良く拍手し、時計を見る。


「そろそろいいわね」


キッチンペーパーで、ブリの塩と水気を拭き取る。


それからフライパンに油をひくと、あちこちから良い香りが漂ってくる。


焼く香りと、炊くご飯の香りと、まるでお店にいるような、そんな贅沢な空間だった。


フライパンにブリを並べると、彼ももう少しらしく、こちらを見てくるので、親指を立ててみせる。


返答はなかったが、それでも彼が気にしてくれるだけ、幸せな気持ちだった。


「ブリの照り焼きは好き?」


カバの先生に聞かれ、私は「もちろん」と答える。


もう完成間近だった。


「えい!!」


ブリをひっくり返し、味をつけると皿に盛る。


「よくできました」


カバの先生が拍手をしてくれ、私は耳をぴんと立てたうさぎみたいに喜ぶのだった。


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