詩A 涙に暮れる者達:月
たくさんの人が泣いている
たくさんの涙が流れている
でも悲しまれている人は知らない
自分がたくさんの人の「大切」だった事を知らない
たくさんの感情が たくさんの想いが
大きな悲しみの湖を作った
空になくなった月を
湖面に映し出した
本当はもう空に昇る事はないけれど
記憶の中にはまだあるから
湖面に幻の月を映しだした
叶う事ならその月が本物になって
空から自分たちを照らしてほしいと思うけれど
そんな事はもう これから一度も きっとない
たくさんの人が悲しんでいる
とても辛い思いで涙を流している
でもたった一人だけは知らない
空に浮かばなくなった月だけが
大切に思われている事を知らない